ドイツワインを今飲むべき理由って?
ドイツワイン界で知らない人はいないヘレンベルガー・ホーフ社の山野高弘さんに聞いてみました!
現地で2年以上、ドイツワインの醸造工程全てに携わった経験を持つ山野高弘さんの語る “リアルドイツワイン”の世界へようこそ。
その1:ドイツワインをアップデートすべし
川嶋:ドイツワインというと、今まで甘口ワインというイメージが強かったのですが。
山野:はい。確かに1970年代までは全体の60%が甘口ワインでした。しかし2017年の統計を見ると、今や70%近くが辛口・中辛口です。昔からのワイン生産国で、こんなにドラマチックな変革を遂げた国は他にありません。
川嶋:なるほど。それにはどういった背景があるのでしょうか?
山野:まず言えるのは、生産者の世代交代です。1980年代に20代30代だった若い生産者が、外国に行って勉強してくる。そして知識や技術を持ち帰って、自国のワインをどんどん洗練されたものへ造り変えていったわけです。
川嶋:第6回お届け予定の、フーバー醸造所のシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)なんて、その最たる例ですね。
山野:はい。歴史に埋もれ、何百年も荒廃していた伝説のマルターティンゲン村のピノ・ノワール畑をフーバー醸造所が復活させ、現当主のユリアン・フーバーさんがさらに洗練されたワインへ昇華させました。今や世界のピノ・ノワールファンの中でその名前を知らない人はいません。
その2:“バーチャル醸造所訪問”すべし
川嶋:毎回読んでいて思うのですが、山野さんは生産者とのエピソードがものすごい濃厚ですね。何故なんでしょうか?
山野:やはり現地に行って、生産者と寝食を共にしながら働いたというのが一番ではないでしょうか。
川嶋:実際の体験をリアルに書いているというのも臨場感がありますよね。第7回のテキストで、山野さんが生涯の師であるベルンハルト・ブロイヤーさんと初めて出会うところなんて、読んでいてドキドキしました。
山野:一目見て、すぐに彼は只者ではないとわかりましたね。ドイツ滞在の間幸せだったのは、彼ら一流の醸造家の仕事をすぐ間近で見ることができたということと、思想に触れることができたことです。2年半の間色んなことを経験しながら学びました。
川嶋:私がいいなと思ったのは、それらのエピソードがただの物語ではなく、現在のドイツワイン事情と密接に関わっているところです。例えば、VDP(ドイツ高品質醸造所連盟)をとってもそれを渦巻くドラマが生じています。
山野:そうですね。ベルンハルト・ブロイヤーさんはVDP(ドイツ高品質醸造所連盟)の長だったのにも関わらず、ある時突然脱退してしまいます。VDPといえば、ドイツの生産者なら誰もが加入したい権威。しかし、愛してやまなかったノンネンベルクという畑がグランクリュとして認められなかったがために、ベルンハルトさんは地位を捨てて理想のワイン造りへ邁進するんです。皆さまにはぜひ、実際に醸造所を訪れて生産者と話しているかのような気持ちを味わっていただけたらと思っています。
動画でご紹介!「30秒でお届けワインの魅力語ります」
では、一体どのようなワインなのでしょうか?お届けワインの一部をテキスト著者の山野高弘さんが動画でご紹介いたします。
山野さんのコメントを一部ご紹介します!
山野:第1回目にお届けするのはゲヴュルツトラミナー。
地続きになっているフランス・アルザス地方でも栽培されている品種ですが、実は1%にも満たない超希少品種なんです。
アルザスとの違いは、国民性ですね。アルザスでは甘口になる貴腐ブドウですが、几帳面なドイツ人たちはこれを全部取り除きます(笑)。そうしてキレイな果実だけでピュアに仕上がっているのがこちらのワインなんです。
山野:第3回目はこちら。皆さんこの丸いボトル、みたことあるでしょうか。ボックスボイテルと言います。
フランケン地方ですね。この地方の人たちは100年前から変わらない頑固一徹主義でジルヴァーナーという品種に命をかけています。
急斜面の一番いい区画に植えて土壌の良さを反映させた、地域の料理にも合わせやすい地元愛の詰まった辛口ワインです。
山野:第4回目は南の産地ファルツ地方です。
きつねのラベルで有名なベッカーという造り手です。
ピノ・ノワールを扱っているソムリエさんで知らない人はいません。それくらい世界的に有名な造り手です。ドッペルシュトゥック(2,400ℓ)の大樽でじっくり熟成されたピノ・ノワールです。果実本来の味わい、繊細さとピュアさをぜひ一度味わってください。
ドイツワイン通信講座は次のような方にオススメのコースです
1)他の国のワインは飲んだので、他の地域のワインを飲んでみたい方
2)ドイツワインの中でも有名な甘口白だけでなく、赤ワインや泡も飲んでみたい方
3)ドイツワインの“今、本当に使える知識”を学びたい方
4)歴史・地勢・土壌・醸造など、ドイツワインを飲みながら“丸ごと体験したい”方