アルマ 2016年 春 Alma 2016 Primavera
イタリアはエミリア=ロマーニャ州、パルマからマンドヴァ方面に20キロ程行くと、コロルノの町がある。この小さな町までわざわざ出向いた理由は、イタリア国内のみならず、世界でも有数のイタリア料理学校、アルマを訪ねるためだ。
この、驚くべき食の学校はイタリアにおけるガストロノミーとホスピタリティーの更なる発展を目標に、パルマ市と商工会議所の協力と様々な民間企業がスポンサーとなり、グアルティエロ・マルケージ氏を学長として迎え2004年に開講された。
その規模、敷地、建物、設備、教師陣、スタッフの全てにおいて一流で、校舎となる建物はなんと、ナポレオンの二番目の妻マリー・ルイーズが住んでいた18世紀の貴族の館。
敷地面積は5000平方メートルで、広大なイタリア式庭園を持ち、館内には7つの調理教室、4つのキッチンスタジオ、2つの製菓用ラボのほか、ソムリエのテイスティング用の部屋や会議室、学生とスタッフが毎日使う120人が入る食堂、サービスを実践できるレストラン、ワインセラー、2000冊の料理本の蔵書を誇る図書館まである。
随時、400人の生徒とスタッフがいて、皆さっぱりと清潔そうな装いできびきびと動いている。この大きな学校の案内を勤めてくれたカンディダさんも、足早に、でも丁寧に一時間にわたって敷地内をまわりながら学校の使命から設備に至るまで様々に説明してくれた。
アルマの挑戦
アルマを訪れ、この学校の目的と意味について話を伺った時に一番に感じたことは、彼らがレストランの在り方の変化に対応しながら、新しい時代に向かって更なる知性と洗練を持ち、情熱的にレストラン業界に従事する人材を育成しようとしているという方向性である。
アルマの学生の平均年齢は26歳くらいで、大学を卒業して社会人として違う分野で働いた後、入学する生徒が多いという。大学で法律や科学を勉強した後、シェフを目指す人もいるそうだ。この学校はむしろそういった人材を歓迎している。
「この20年ほどで、シェフの立場もレストランの在り方も大きく変わりました。調理ができるというだけではなく、今の時代、コミュニケーション能力の高さが重要です。シェフも礼儀作法を身につけなければなりません。もちろん給仕にも同じことが言えます。豊富で正確な食材の知識、調理法をきちんと伝えられなければなりません。私たちが望んでいるのは、新しい時代の調理とホスピタリティーです。」
カンディダさんが話す。