幅広い層に絶大な人気を誇るイタリアワイン。「イタリアのワインが好きで、もっと知識を深めたい」という方や、「イタリアワインを扱う仕事をしたいから、ソムリエの資格が取りたい」などという方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、今回はイタリアワインを勉強するうえで大事なポイントを6つご紹介します。ぜひ参考にされてみてください。
勉強ポイント①:ソムリエの資格について知る
イタリアワインを本格的に勉強したいという方の中には、ソムリエの試験を目指している方も少なくないのではないでしょうか。そこで、まずはじめに、日本のソムリエ資格についてお話しします。。
日本ソムリエ協会(JSA)
日本ソムリエ協会(JSA)のソムリエ資格は、合格率は3割未満と、非常に難関なことで知られています。ただ、ワインのプロフェッショナルを目指すのであれば、必須の資格とも言えるでしょう。また、就職や転職などでも有利に働いたり、職場によっては資格手当がもらえることもあります。
なお、ワイン関連の職業に従事しない人は、ソムリエと同等の資格である「ワインエキスパート」という資格を取得することが可能です。
勉強ポイント②:イタリアで生産量の多い州をおさえる
イタリアでは国内全土でワインが生産されています。その中でも、特にワインの生産量の多い州とその順位はきちんとおさえておくことが大切です。
1位 ヴェネト州
イタリア北東部に位置し、東側はアドリア海に面したヴェネト州。州都のヴェネツィアは観光地としても知られています。ヴェネト州で特に有名なワインは、すっきりとした味わいのスパークリングワイン「プロセッコ」や、フルーティーで爽やかな白ワイン「ソアーヴェ」、陰干ししたブドウから造られる甘口の赤ワイン「アマローネ」などです。
2位 エミリア・ロマーニャ州
エミリア・ローマニャ州はヴェネト州の南に位置する、東西に長い州。「ランブルスコ」というブドウ品種から造られる、赤の甘口のスパークリングワインが高い評価を受けています。
3位 プーリア州
イタリアの国土を長靴に見立てたら、そのかかと部分にあたるプーリア州。長らくテーブルワインのブレンド用のブドウの栽培がされてきた地域ではありますが、近年は独自性のあるワインの生産に乗り出し、注目を集めています。
4位 シチリア州
地中海最大の島、シチリア島。ブドウ栽培面積だけを見ればイタリア最大です。「マルサラ」という甘口の酒精強化ワインが有名です。
勉強ポイント③:ワイン法やラベルの記載事項についておさえる
イタリアワインを勉強する際は、ワイン法やラベルの記載事項などについてもおさえておく必要があります。以下、詳しく見ていきましょう。
ワイン法
イタリアのワイン法に関して覚えておく必要はあるのは、イタリアで初めてワイン法を制定した人物、トスカーナ大公コジモ3世です。彼は1716年、著名なワインの生産地の境界線を定め、その範囲外で造られたワインにその名を使用することを禁じました。このことが、イタリアのワイン法の始まりとなったのです。
その後、1920年にはバローロなどのワイン産地の指定が行われるなどしましたが、国全体で統一されたワイン法が制定されたのは1963年のこと。その後、EU新ワイン規則に合わせて改正され、2010年施行されたワイン法では、イタリアワインの格付け分類が4段階から3段階に変更されました。
ラベル記載事項
イタリアのワインのラベルには、原則、生産者名や収集年(ヴィンテージ)、原産地名、生産者住所、容量、アルコール度数などが記載されています。
ブドウ品種が記載されていることもありますが、基本的にワイン法で原産地ごとに使用が認められるブドウ品種が定められているため、原産地名が記載されている場合は、あまりブドウ品種が記載されることはありません。
勉強ポイント④:イタリアの有名なブドウ品種をおさえる
ワインの味わいに大きく影響するブドウ品種は、ソムリエの勉強をするうえでも必須の知識となります。また、ブドウ品種ごとの特徴を把握しておけば、ワインを選ぶ際にも選びやすくなるので、ぜひともおさえておきたいポイントです。
イタリア固有のブドウ品種は2000種類以上
イタリアには、なんと2000種類以上ものブドウ品種があると言われています。もちろん全部覚えるのは容易なことではないので、特にメジャーなものを覚えておきましょう。
サンジョベーゼ(黒ブドウ)
イタリア中部トスカーナ地方中心に栽培されている、赤ワイン用のブドウ品種です。
イタリアワインの花形でもある「キャンティ」に使われる品種でもあり、赤い色の果実やスミレなどの香りと、はっきりとした酸味の感じられる赤ワインを生み出します。
トレッビアーノ(白ブドウ)
主にイタリア中南部で生産されている、白ワイン用のブドウ品種です。トレッビアーノから造られるワインとしては、アブルッツォ州の「トレッビアーノ・ダブルッツォ」が有名です。デイリーワインにもピッタリな、カジュアルな味わいの白ワインになります。
「シノニム」について
ブドウ品種によっては、国や地域によって別名がある場合があります。これを「シノニム」と言います。例えば、トレッビアーノはフランスでは「ユニ・ブラン」や「サンテミリオン」という名称で呼ばれます。このような「シノニム」を覚えることも、ワインを勉強していく上では重要です。
勉強ポイント⑤:赤ワインは味わいを「ボディ」という言葉で表す
イタリアのワインに限らず、基本的に赤ワインの味わいは「辛口」や「甘口」ではなく、「ボディ」という言葉を使って表します。試験対策とは異なりますが、ワインを選んだり、楽しんだりするうえで必要な知識になるので、それぞれの味わいについて解説します。
ライトボディ
ライトボディは赤ワインのなかでも軽い飲み口のものを指しています。ライトボディの赤ワインは、渋みや酸味などが穏やかなため、ワイン初心者の方でも飲みやすい味わいと言えるでしょう。軽めの前菜やおつまみなどとよく合います。
フルボディ
フルボディはライトボディとは逆に、どっしりとした力強い味わいの赤ワインのことを指しています。果実味も濃厚で渋みも強く、飲みごたえのある味わいと言えるでしょう。
ボリューム感のある肉料理などとよく合います。
ミディアムボディ
フルボディとライトボディの中間的な味わいのワインです。イタリアで生産される赤ワインの多くは、このミディアムボディに分類されています。バランスがよく、幅広い料理と合わせやすい味わいのものが多いのが特徴です。
勉強ポイント⑥:イタリアワインの「格付け」を覚える
イタリアにはワイン法に基づく「格付け」というものがあり、「格付け」はイタリアワインを勉強するうえでは必要な知識になってきます。以下、その詳細を見ていきましょう。
大きく分けて3段階
イタリアで2010年5月から施行された現行のワイン法では、すべてのワインが高品質なものから順にD.O.P. 、I.G.P.、Vinoの3つの格付けに分類されています。以下、それぞれの格付けについて解説します。
D.O.P.
「D.O.P.(Denominazione di Origine Protetta)」とは「保護原産地保証ワイン」を意味する言葉で、あらゆる条件をクリアしたワインだけに与えられる最上ランクの格付けです。旧ワイン法における「D.O.C.G.」と「D.O.C.」の格付けが統合されたものになりますが、ラベルには旧法における「D.O.C.G.」や「D.O.C.」が記載されていることも少なくありません。
I.G.P.
「I.G.P.(Vino a Indicazione Geografica Protetta)」とは「保護地理表示ワイン」を意味する言葉で、3つの格付けの中間に位置します。
旧ワイン法における格付けの「I.G.T.」の名称が変更されたもので、「I.G.P.」の格付けに認定されるためには、ワインの産地に掲げる地域のブドウを最低85%使うことなどが義務付けられています。
Vino
「Vino」は旧法におけるVdT(テーブルワイン)の名称が変更されたもので、格付けの中では最下層に位置するワインです。「Vino」には厳しい規定はなく、産地などの表示もされませんが、なかには「スーパータスカン」など、非常に優れた品質の「Vino」のワインも存在するため、必ずしも全ての「Vino」のワインの質が劣っているとは言い切れません。
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