不動の人気を誇るイタリアワイン。そんなイタリアのワインについて、もっと詳しくなりたいと思っている人も多いのではないでしょうか。そこで、この記事ではイタリアのワインの特徴や歴史、製法、種類などについて解説しながら、イタリアワインの魅力を掘り下げていきたいと思います。ぜひ参考にされてみてください。
イタリアワインの基礎知識
まずは、イタリアワインを語るうえでは欠かせない、イタリアのワインの歴史や産地ごとの特徴、ワイン法、ラベルの読み方などをご紹介します。
イタリアワインの歴史
イタリアのワイン造りの歴史は古く、紀元前2000年頃という大昔からワイン造りが行われていました。最初にギリシャ人がイタリアの南部にブドウの栽培やワイン造りの技術をもたらし、その後、瞬く間にイタリア全土へと広がっていきました。というのも、イタリアの大部分は「地中海性気候」という雨の少ない温暖な気候で、ブドウ栽培には理想的な環境が揃っていたのです。実際に、当時のギリシャ人はイタリアのことを「エノトーリア・テルス(ワインの大地)」と呼んでいたと言われています。
イタリアワインの地域ごとの特徴
北部イタリア
北にはアルプス山脈がそびえ、南にはロンバルディア平原やアドリア海を有する地域です。「イタリアワインの王様」と言われる「バローロ」や、イタリアの高級スパークリングワイン「フランチャコルタ」なども生み出されています。
中部イタリア
ローマやフィレンツェなどの大都市を有し、東はアドリア海、西は地中海に面した地域です。イタリアワインのなかでも特に有名な「キャンティ」の産地などもあります。
南部イタリア
地中海に浮かぶシチリア島とサルディーニャ島を含む、国土の南側に位置する地域です。国内トップクラスのワインの生産量を誇るプーリア州などがあります。
ワイン法
イタリアで初めてワイン法が制定されたのは1716年のこと。時のトスカーナ大公コジモ3世が、キャンティ地区の生産地の境界線を定めたのが、イタリアのワイン法の始まりとなりました。
その後、幾度にもわたる法改正を経て、現在のワイン法では、全てのイタリアワインを大きく3つの格付けに分類しています。
ラベル記載事項
イタリアのワインのラベルには、一般的には生産者名や収集年(ヴィンテージ)、ワイン法による原産地名、生産者住所、容量、アルコール度数などが記載されています。ワイン法では、原産地ごとに使用可能なブドウ品種が定められているため、原産地名が記載されている場合、あまりブドウ品種が記載される
ことはありません。これが、かえって消費者を混乱させる一因にもなっています。
イタリアワインの「格付け」
次に、先ほど「ワイン法」のところで触れた、イタリアワインの「格付け」について、詳しく見ていきましょう。
大きく分けて3段階
2010年5月から施行された現行のワイン法では、質が高いものから順に、すべてのワインをD.O.P. 、I.G.P.、Vinoの3つの格付けに分類しています。以下、それぞれの格付けについて解説します。
D.O.P.
D.O.P.とはDenominazione di Origine Protettaの略で、「保護原産地保証ワイン」を意味する言葉。旧法における格付けの「D.O.C.G.」と「D.O.C.」が統合されたもので、あらゆる条件をクリアしたワインだけに与えられる、最上ランクの格付けです。なお、ラベルには旧法における「D.O.C.G.」や「D.O.C.」を記載することも認められています。
I.G.P.
I.G.P.とはVino a Indicazione Geografica Protettaの略で、「保護地理表示ワイン」を意味します。旧法における格付けの「I.G.T.」の名称が変更されたもので、産地に掲げる地域のブドウを最低85%使うことが義務付けられています。
Vino
Vinoは格付けの中で最も下に位置するワインで、旧法におけるVdT(テーブルワイン)の名称が変更されたもの。最低の基準はあるものの、その他には特に規定はなく、産地などの地理的表示のされないワインがVinoに分類されます。
イタリアワインのブドウ品種
続いて、ワインの味わいの決め手ともなる、イタリアのワインのブドウ品種について解説し、代表的な品種を2つご紹介します。
イタリアには2000種類以上のブドウ品種がある!?
イタリアには、なんと2000種類以上ものブドウ品種があると言われています。そのため、イタリアでは非常に多くの種類のブドウから、実に多様な個性を持つワインが生み出されているのです。この「多様性」こそ、イタリアワインの大きな魅力のひとつと言えるでしょう。
代表的なブドウ品種
2000種類もあるというイタリアのブドウ品種のなかには、メジャーなものもあれば、マイナーなものもあります。そこで、「これだけはおさえておきたい」という、メジャーな赤ワイン用のブドウ品種(黒ブドウ)と白ワイン用のブドウ(白ブドウ)を1つずつご紹介します。
サンジョヴェーゼ(黒ブドウ)
イタリアでもっとも多く栽培されている黒ブドウで、特にイタリア中部での栽培が盛んです。
イチゴやプラムのような香りと、しっかりとした酸味を備えた赤ワインを生み出します。
トレッビアーノ(白ブドウ)
イタリアでもっとも多く栽培されている白ブドウです。爽やかな柑橘系の香りと豊かな酸を持つ、飲みやすい味わいのワインを生み出します。
高級イタリアワイン
イタリアのワインで、特別な日に飲んだり、贈り物にぴったりなものには、どのようなものがあるのでしょうか。以下、イタリアの有名な高級な赤ワインを3つご紹介します。
バローロ
イタリアの「ワインの王様」と呼ばれるワインで、イタリア北西部に位置するピエモンテ州で、ネッビオーロというブドウ品種から造られます。熟成期間は3年以上。重厚感のあるパワフルな味わいのワインです。
バレバレスコ
イタリアの「ワインの女王」と呼ばれるワインで、バローロと同じく、ピエモンテ州でネッビオーロから造られるワインで、優美でエレガントな味わいが特徴です。
キャンティ
キャンティはイタリア中部のトスカーナ州で、先ほど紹介したサンジョヴェーゼから造られるワインで、安いデイリー向きのものから、非常に高価なものまで、幅広い価格帯のものが存在します。そのため、一概にすべてのキャンティが高級とは言えませんが、基本的には高価なものになるほど、品質も高くなるとい考えていいでしょう。
おすすめのイタリアワイン
それでは、普段楽しむのにピッタリなイタリアのワインには、どのようなものがあるのでしょうか。以下、具体的に見ていきましょう。
甘口のワイン
イタリアでは、甘口のワインやスパークリングワインも生産されています。甘口の中にも、極甘口のデザートワインから、食事にも合わせやすい爽やかな甘口タイプのものもあります。いずれにしても、ワイン初心者の方にも飲みやすく、挑戦しやすいワインと言えるでしょう。
辛口のワイン
イタリアで最もスタンダードなワインは、やはり辛口のワインです。辛口とはいっても、赤ワインには重厚なものから軽めのものまで、白ワインにはコクがあるタイプのものから、さっぱりとした飲み口のものまで、様々な味わいのものがあります。
スパークリングワイン
イタリアではスパークリングワインのことを「スプマンテ」と呼びます。スプマンテはイタリア各地で造られていますが、ヴェネト州で造られる「プロセッコ」や、ロンバルディア州の「フランチャコルタ」などが有名です。
当たり年について
ワインの原料となるブドウは農作物であるため、年によって出来・不出来があり、ワインの味わいにも影響を及ぼします。そして、素晴らしい出来のブドウが収穫できた年のことを「当たり年」と言います。ここ最近のイタリアの当たり年は、2016年や2012年、2010年などです。ワインを選ぶときのひとつの参考にしてください。
イタリアワインを選ぶコツ
「イタリアワインは種類が多すぎて、何を選んだらいいのかわからない」という人も多いのではないでしょうか。そこで、イタリアワインを上手に選ぶコツをお伝えするので、イタリアワイン初心者の方は参考にしてください。
代表的な産地から選ぶ
イタリアワインの代表的な産地としては、「バローロ」や「バルバレスコ」を生み出すピエモンテ州と、「キャンティ」を生み出すトスカーナ州が挙げられます。これらの州では、高級ワイン以外にも、リーズナブルなワインもたくさん生産しているので、イタリアワインの入門に、まずはこれらの州のワインを選んでみるといいでしょう。
食材や料理と同じ産地のワインを選ぶ
一般的に、ワインと食事は、それぞれの産地を合わせると相性が良くなると言われます。そこで、合わせる料理や食材と同じ場所で生産されたワインを選ぶのもおすすめです。
代表的な2つのブドウ品種から選ぶ
イタリアワイン初心者の方は、まずは先に紹介した「サンジョヴェーゼ」と「トレッビアーノ」の、代表的な2つのブドウ品種から選んでみるのもおすすめです。
まずはこの2つを試してから、他の品種のワインを開拓していくといいでしょう。
イタリアワイン通信講座
イタリアでNo.1になった日本人ソムリエ林基就が企画・監修
ソムリエ林が直接イタリア現地の生産者を訪れ仕入れたこだわりのラインナップを毎月お届けします。
一緒にお届けするテキストには各ワインのテイスティングシートを模範解答付きで掲載。初心者でもわかりやすくワインの個性を知ることができます。