
こんにちは、大阪営業所の井手です。
1年間、お届けワインの美味しい飲み方と取扱説明を皆さまにお伝えしていきます。ぜひ参考にしてください。プロのソムリエも知らない知識や独自の観点からワインを分かりやすく説明します。
第2回でお届け
ピエモンテ州
【赤】カ・デル・ブリック|オヴァダ “トレ・ルストゥリ” 2011
ドルチェット100%

飲み頃は? 私は3日目が好きでした。
1日目から熟成感や熟成による旨味が楽しめます!それと同時に果実味も残ってます!
2日目、3日目と熟成の香りが強く出てきます!
熟成した腐葉土香りのや錆びた鉄の香り。鰹節のような香り。
熟成ワインの勉強になるワインです!
14年の熟成感を楽しめるワインは珍しいです!しっかり熟成赤ワインを楽しみましょう!
熟成ワインなので『澱』が少しあります!30分以上立てた状態で澱を沈めてください!
最後まで飲みきりたい場合は『目の細かい茶漉し』を使ってください。
※抜栓後はセラーより温度が低い冷蔵庫か野菜室で保管してください。時間経過と共に開く前に酸化します。

熟成ワインは好みが分かれます、時間しか作れない美味しさを感じて楽しみましょう!
温度帯は?
16〜20℃
ボトルを握って少しヒヤッとする温度
抜栓後、必ず冷蔵庫か野菜室で保管してください。セラー(16℃前後)だと温度が高過ぎます。
2日目以降は残量に対して野菜室から30〜60分前に出し温度調整してください。
ジャンルは?(ワインをジャンル分けする事でペアリングや楽しみ方が理解できます)

黒果実系
黒果実系とはカベルネソーヴィニョン、メルロー、シラー、サンジョヴェーゼ、モンテプルチャーノ、プリミティーヴォを代表する果実味が強く、色調が赤黒く濃淡が濃い特徴を持つジャンルです。世界中で造る赤ワインの大部分はこのジャンルのワインです。
しかも今回のヴィンテージは2011年です!黒果実系の熟成ワインを識る貴重な時間になります。
凄く勉強になるワインなのでしっかり楽しみましょう。(ジャンル分けは井手独自の感覚のジャンル分けです)

タイプ
果実味とスパイス感が強くタンニンがドライなタイプ(サンジョヴェーゼ、シラー、サグランティーノ、タナ(タンニンの語源になった品種)、シラー等)
特徴
このタイプのワインはドライなタンニンを感じるワインです。渋い緑茶の様なタンニンです。
強いタンニンのワインになると、舌がタンニンでギュッと引き締まり、口の中の水分を奪います。口の中がカラカラになります。黒果実系の長期熟成ワインに多く感じるタイプです。
今回のワインは基本的に煮込み料理との相性が良いワインになります。牛ステーキや焼肉は合いません!赤ワイン煮込みやレバー料理が合います!
ドルチェットの特徴と伝わり辛さ
近年生産量を減らす『ドルチェット』
私の経験ではドルチェットの1.中程度の酸味、2.ブラックチェリーとスパイス感のある果実味、3.ドライなタンニン、この3つの特徴と味わいが『シラーと似ている品種』だと感じます。
昔、アンジェロ・ガヤ氏(GAJA)が「無人島に持っていくならドルチェット」と発言した逸話が有名ですが、日常消費用ワインとして早めに収穫され、軽めに抽出されるのが一般的でした。
『早飲み&軽めのテイスト』に造られる事が多かったドルチェットですが、現在温暖化の影響もあり、『濃くてドライ』に造る風潮があります。この『濃くてドライ』の流れでドルチェットを醸造すると『ガチガチの硬い硬いワイン』が出来上がります。早飲みでライトに造られてきたドルチェットが、長期熟成可能なワインとして造られた事で『飲み頃の熟成期間を待たずに販売される』事になります。
バローロは38ヶ月以上、バルバレスコは26ヶ月以上の熟成での販売が義務付けられますが、縛りのないドルチェットとバルベーラは出来たてホヤホヤのワインが市場に出回ります。バルベーラは比較的早く開くのですが、シラーと似たタイプのドッシリなドルチェットは中々本領を発揮しないまま飲まれる事が多いです。しかも今だに早飲みタイプと誤解されたままです。
『実力を発揮できないまま評価され続けた結果』、美味しいのか、美味しくないのか、よく分からないワインと言う印象になります。生産量を減らしている理由かは分かりませんが、長年販売していると15年前に比べ需要をあまり感じない品種です。
しかし!『ドルチェット』は飲み頃が合うと素晴らしい品種です!
飲んだ5秒後に「美味しい」と声がこぼれます。
バルベーラは飲んだ直後に「美味しい」と声がでます。
この『5秒の差』が味わいの印象の差に思えます。要は玄人受けのシットリ系ワインって事です。
とにかく『開くのも早く、分かりやすい美味しさのバルベーラ』に軍配が上がる訳です。

1日目 旨い!クラシックで懐かしい味わい!派手さはないが良いワイン!
香り:熟成香=錆びた鉄や腐葉土(森の土)、ラベンダーの香り、赤リンゴの香り。
味:酸味柔らかい、カシス系の果実味、ドライなタンニン、熟成のほっこりする旨み。
2日目 木材の香り、開いたな!心地よい樽感!
香り:熟成した香りにカシスの果実の香りが混じる。
味:酸味と熟成したウッディな果実味、鉄分、樽感と旨味が同時に感じる、心地よい!
3日目、カシスの香りと熟成感が前に出て来た!
香り:熟成の香りの中にカシスとラベンダーの香り!
味:熟成感と果実味が融合して好きな味わい、熟成ワインの錆びた鉄の味。
4日目、落ちた状態、酸化のニュアンスが強くなる。
香り:錆びた鉄と腐葉土が強くなる。
味:熟成感が強く出て果実味が弱くなった、でもまだ飲める状態。
結論 熟成したワインは旨い!3日目迄が良い状態です。
熟成ワインは果実味と熟成感を両方感じるワインの状態が好きです!
熟成ワインの腐葉土や錆びた鉄などの複雑な香りや酸化熟成した旨味を探してください。
※保存方法は注意してください。セラー(16℃前後)ではなくて温度の低い冷蔵庫で冷やしてください。
熟成ワインの見分け方。
熟成した赤ワインは色で分かります。
レンガ色が混じった赤茶色になります。グラスを傾けて液面の薄い場所の色を見てください。
レンガ色です↓

白ワインの熟成
余談ですが、白ワインも熟成します。熟成すると色調が濃くなっていきます。レモンイエローから黄金、アンバー(琥珀)と変化していきます。
アンバー(琥珀)色です↓

ベストペアリング

・鰹のタタキ 一度綺麗に拭いて、食べる直前にバーナーで炙って香ばししてください(これ凄く大事です)。鉄分の同調!旨味の同調!醤油つけると更に美味しい!焼き目の香ばしさは色々なワインと相性抜群です!

・鴨の胸肉 合うね!鉄分が同調、鴨の旨味がワインの旨味と合う!が同調、味わいが広がる。
・キノコのバター醤油 エノキやシメジ、舞茸、平茸などを炒めまくって水分を飛ばして焦しバター醤油でいただく!熟成ワインとキノコは素晴らしいペアリングになります!
・鳥レバー甘露煮 旨い!レバーのネットリ感と鉄分が同調!アフターまで心地よい!
・焼いたブラウンマッシュルーム 最初ワインが勝つけどアフター心地よい出汁感とマッシュルームの香ばしさが合う。
・焼き椎茸塩 旨い!ボリューム感も丁度、熟成感と香ばしさと旨味が折り重なる!
・きんぴらゴボウ、ゴボウと醤油の鉄分が同調!胡麻の香ばしさも合う!
・サーモン刺身に出汁醤油 意外に合う!カシスソースみたいな果実味は良い感じ、タンニンが少し強いけどアフターの鰹節っぽい旨味が同調して美味しい!面白くて良いペアリング!出汁醤油つけたら更に同調増します!

結論 熟成した赤ワインは合わせる食材が熟成の進み具合によって狭くなっていきます。果実感が薄くなり、旨味と熟成感が厚くなるからです。腐葉土の様な熟成感と同じ香りのキノコとの相性は同調を感じる素晴らしい組み合わせです。中々良い熟成ワインと出会う機会が少ないので熟成感を楽しんでください。味の弱いキノコ単品だとワインがボリューム勝ちするので醤油やバターでバリューム感を上げて調理してください!しっかり炒めてキノコの水分を減らしてください、濃厚なキノコ料理になります!
※牛肉のステーキや焼肉と相性良くないです。一度試してください。
井手のベスト漬物『シソニンニク』
旨い!酸味が打ち消しあってニンニクの香りとワインのシソっぽい果実味と旨味が合う!
・いぶりがっこ、アフターのスモーク感と熟成感が同調して心地よい!

漬物ではないですが昆布の佃煮はお勧めです!特にフジッコのふじっ子煮シリーズは凄く合います!おかか昆布、しそ昆布は絶品です!

井手のベストポテチ『海苔しお系』
海苔の旨味が同調する!美味しい!
カレー味のスナックもスパイス感と熟成感が面白い組み合わせです!

▶︎第2回【白】ラパリーノ|ランゲ アルネイスの取説はこちら
Vino Hayashi 井手 大阪営業所長 J.S.A.認定ソムリエ
食育アドバイザー 横浜市で誕生、福岡に6年、関西で36年。O型。45歳。 ワイン業界で約15年、レストランや料飲店での営業のほかにペアリングのコンサルもこなし、飲食とフットサルと笑いを愛するポジティブ関西人! 好きなワインは、弊社取り扱い生産者カステル・ユヴァルのミュラー・トゥルガウ、コントゥッチのヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノ。

Vino Hayashi 井手
大阪営業所長
J.S.A.認定ソムリエ
