こんにちは、大阪営業所の井手です。
1年間、お届けワインの美味しい飲み方と取扱説明を皆さまにお伝えしていきます。ぜひ参考にしてください。プロのソムリエも知らない知識や独自の観点からワインを分かりやすく説明します。
第7回でお届け
トスカーナ州
【赤】ピエトロ・ベコンチーニ|キャンティ リゼルヴァ “ピエトロ・ベコンチーニ”2019
飲み頃は?
1日目から熟成感や熟成による旨味が楽しめます!2日目、3日目と熟成の香りが強く出てきます!
熟成した腐葉土香りのや錆びた鉄の香り。鰹節のような香り。熟成の勉強になるワインです!
5年でここまで熟成感を楽しめるワインは珍しいです!しっかり熟成赤ワインを楽しみましょう!
※抜栓後はセラーより温度が低い冷蔵庫か野菜室で保管してください。時間経過と共に開く前に酸化します。
熟成ワインは好みが分かれます、時間しか作れない美味しさを感じて楽しみましょう!
温度帯は?
16度〜20度
ボトルを握って少しヒヤッとする温度
抜栓後、必ず冷蔵庫か野菜室で保管してください。セラー(16℃前後)だと温度が高過ぎます。
2日目以降は残量に対して野菜室から30分〜60分前に出し温度調整してください。
ジャンルは?(ワインをジャンル分けする事でペアリングや楽しみ方が理解できます)
赤果実系
赤果実系とはピノ・ノワールやネッビオーロ(バローロ)を代表する酸味が強く、色調が赤く濃淡がやや薄い特徴を持つジャンルです。
※赤ワインは大きく分けて赤果実系のジャンル(ピノ・ノワール等)と黒果実系のジャンル(メルロー等)2種類に分かれる事が多いです。今回は赤系果実の特徴が色濃くでる品種です。
凄く勉強になる品種なのでしっかり楽しみましょう。(ジャンル分けは井手独自の感覚のジャンル分けです)
タイプ
赤果実系で鉄分とタンニンが強いタイプ(代表品種はネッビオーロ)
サンジョヴェーゼは偉大なブドウです。
果実味タップリの『黒果実系』になるタイプ
エレガント系の『赤果実系』になるタイプの2種類が存在する事を知って下さい!
プロのソムリエでも、ファインワインに成る程、熟成したサンジョヴェーゼと熟成したネッビオーロの見分けがつきません。私も何度もブラインドテイスティングで間違えました。個人的な見解ですが、熟成すると酸味と鉄分と旨味の味わいが似てくると感じます。特に鉄分と旨味は同じに感じます。
今回のワインは基本的に煮込み料理との相性が良いワインになります。牛ステーキや焼肉は合いません!赤ワイン煮込みやハンバーグが合います!
特徴
生産量の多いサンジョヴェーゼは造り手の考えや地域の食文化で味わいの表現が変わる代表的な品種です。
トスカーナ州で造られるDOCGのサンジョヴェーゼも様々です。ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは旨味が強い傾向が強く、名前のままですが高貴なワインと名乗るヴィーノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノは酸味が強くエレガント系に仕上げる傾向が強いです。モレッリーノ・ディ・スカンサーノは酸味が穏やかで果実味が豊かな仕上がりになります、キャンティは赤系黒系入り混じる無法地帯です。
個人的に言える事は、サンジョヴェーゼは『雑な酸味と雑なタンニンの間に強い旨味を感じる品種』です。
この雑な酸味と雑なタンニンを滑らかにする事で如何に美味しいワインに仕上げるか!が生産者の腕の見せどころです。
ネッビオーロも同じですが、昔は年月と共に熟成する事でしか滑らかに出来なかった事が醸造技術の発達や造り手の努力で若くても美味しいワインが増えた事は嬉しいばかりです。
1日目 ええやん!開けたてから熟成を感じる!熟成5年目で?
香り:鰹節、鉄分、軽い腐葉土(熟成香)、微かにカシスの香り。
味:軽い熟成感、鉄分、果皮の旨味、ドライタンニン、出汁感の旨味。
2日目 熟成感と果実味が混ざる良い状態のワイン!アフターに旨味が続く!
香り:熟成した香り、出汁や鉄の香り、カシスの香りが強くなってきた。
味:ドライタンニン、鉄分とカシスが混ざった好きな味わい、タンニンで舌がギュッとなってる状態でカシスの果実味が舌の奥で感じる、ワインしか味わえない感覚。アフターに旨味が続く。
3日目、カシスの香りと熟成感が前に出て来た!
香り:カシスの香り強くなった、森の土(腐葉土)の良い香りも強くでてきた。
味:熟成感と果実味が融合して好きな味わい。
4日目、落ちた状態、酸化のニュアンスが強くなる。
香り:錆びた鉄と腐葉土が強くなる。
味:熟成感が強く出て果実味が弱くなった、まだ飲める状態。
結論 熟成したワインは旨い!3日目迄が良い状態です。
熟成ワインは果実味と熟成感を両方感じるワインの状態が好きです!
熟成ワインの腐葉土や錆びた鉄などの複雑な香りや酸化熟成した旨味を探してください。
※保存方法は注意してください。セラー(16℃前後)ではなくて温度の低い冷蔵庫で冷やしてください。
熟成ワインの見分け方。
熟成した赤ワインは色で分かります。
レンガ色が混じった赤色になります。グラスを傾けて液面の薄い場所の色を見てください。
オレンジがかった色調になっています。
白ワインの熟成
余談ですが、白ワインも熟成します。熟成すると色調が濃くなっていきます。レモンイエローから黄金、アンバー(琥珀)と変化していきます。
ベストペアリング
・鰹のタタキ、食べる直前にバーナーで炙って香ばししてください(これ凄く大事です)。鉄分の同調!旨味の同調!醤油つけると更に美味しい!焼き目の香ばしさは色々なワインと相性抜群です!
・鴨の胸肉、合うね!鉄分が同調、鴨の旨味がワインの旨味と合う!が同調、味わいが広がる、
・合挽ハンバーグ、家庭で作るハンバーグです。玉ねぎの甘みが広がり肉の旨味とワインの鉄分が混ざって美味い!
・豚肩ロース、好きな合わせ方!豚の旨味とワインの旨味が同調!
・鳥レバー甘露煮、旨い!レバーのネットリ感と鉄分が同調!アフターまで心地よい!
・焼いたブラウンマッシュルーム、最初ワインが勝つけどアフター心地よい出汁感とマッシュルームの香ばしさが合う。
・焼き椎茸塩、旨い!ボリューム感も丁度、熟成感と香ばしさと旨味が折り重なる!
・ゴボウ、ゴボウの鉄分が同調!金平牛蒡みたいに醤油ベースならもっと美味しくなる!
・サーモン刺身、意外に合う!カシスソースみたいな果実味は良い感じ、タンニンが少し強いけどアフターの鰹節っぽい旨味が同調して美味しい!面白くて良いペアリング!出汁醤油つけたら更に同調増します!
結論 熟成した赤ワインは合わせる食材が熟成の進み具合によって狭くなっていきます。果実感が薄くなり、旨味と熟成感が厚くなるからです。腐葉土の様な熟成感と同じ香りのキノコとの相性は同調を感じる素晴らしい組み合わせです。中々良い熟成ワインと出会う機会が少ないので熟成感を楽しんでください。
牛肉のステーキや焼肉と相性良くないです。一度試してください。
井手のベスト漬物 シソニンニク、旨い!酸味が打ち消しあってニンニクの香りとワインのシソっぽい果実味と旨味が合う!
・シソ梅、甘い!旨い!酸味とタンニンが打ち消しあってお互いの果実味を強く感じる!梅干しなら何でも面白いペアリングになります。
漬物ではないですが昆布の佃煮はお勧めです!特にフジッコのふじっ子煮シリーズは凄く合います!おかか昆布、しそ昆布は絶品です!
井手のベストポテチ 海苔しお系 海苔の旨味が同調する!美味しい!
カレー味のスナックもスパイス感と熟成感が面白い組み合わせです!
▶︎第7回【白】イル・コロンバイオ|ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ “セルヴァビアンカ”の取説はこちら
Vino Hayashi 井手 大阪営業所長 J.S.A.認定ソムリエ
食育アドバイザー 横浜市で誕生、福岡に6年、関西で33年。O型。42歳。 ワイン業界で約15年、レストランや料飲店での営業のほかにペアリングのコンサルもこなし、飲食とフットサルと笑いを愛するポジティブ関西人! 好きなワインは、弊社取り扱い生産者カステルユゥヴァルのミュラートゥルガウ、コントゥッチのヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノ。