
はじめまして、大阪営業所の井手です。
1年間、お届けワインの美味しい飲み方と取扱説明を皆さまにお伝えしていきます。ぜひ参考にしてください。プロのソムリエも知らない知識や独自の観点からワインを分かりやすく説明します。
第1回でお届け
トレンティーノ=アルト・アディジェ州
【赤】コルタッチ|アルト・アディジェ スキアーヴァ アルテ・レーベン “ソンタレール” 2021

飲み頃は?
3日目です!
3日目からエレガントな香りが爆発する香水の様なワインに変貌します!
開けたては若過ぎてエグ味があります。
2日以内に絶対飲み切らないでください!勿体無い!
※ファインワインと付き合う秘訣は焦れずにゆっくり時間を掛けて香りが開くのを待つことです。
温度帯は?
15〜20℃
ボトルを握って少しヒヤッとする温度
抜栓後、セラーがない場合は冷蔵庫の野菜室で保管してください。
飲む1時間前に冷蔵庫から出してゆっくり室温に戻します。
ジャンルは?(ワインをジャンル分けする事でペアリングや楽しみ方が理解できます)

赤果実系
赤果実系とはピノ・ノワールやネッビオーロ(バローロ)を代表する酸味が強く、色調が赤く濃淡がやや薄い特徴を持つジャンルです。
※赤ワインは大きく分けて赤果実系のジャンル(ピノ・ノワール等)と黒果実系のジャンル(メルロー等)の2種類に分かれる事が多いです。今回は赤系果実の特徴が色濃くでる品種です。
凄く勉強になる品種なのでしっかり楽しみましょう。(井手独自の感覚のジャンル分けです)

タイプ
赤果実系で酸味、果実味と旨味を感じるタイプ(代表品種はピノ・ノワール)
若いヴィンテージは香りと赤ベリー系の果実味が強く、熟成と共に旨味が出てきます。
特徴
このタイプのワインはヴィンテージが若いと青いエグ味と咽せる様なベリー系の香りが気になります。 良いポテンシャルのワイン程、エグ味や香りが強く出る傾向にあります。しかし香りが開いてくる(加工品→天然の香り)とアロマやハーブ感が溢れ出てきます。味わいも加工品のさくらんぼやジャム感が抜けて鉄分や旨味が感じられるワインに変貌します。抜栓後しっかり時間を使ってワインが開くのをお待ちください。

抜栓1日目
香り:缶詰のサクランボ、スモモ、青梅蜂蜜漬けの加工品の香り。
味:加工品の味、イチゴジャム、エグ味、酸味と果実味のバランスが悪い、若過ぎる。本来なら抜栓するタイミングではない。2~3年待つ方が美味しいワインです。
抜栓2日目 味わいに加工品の感じが弱くなってきた!
香り:香りは変わらず閉じている。
味:フレッシュなチェリー感出てきた!果実味が心地よい!
抜栓3日目 香りが開いた!薔薇の香水の香りが出てきた!
香り:薔薇の香り出た!メンソールの清涼感も出た!
味:若さが抜けてきて鉄分が出てきた、青いエグ味が無くなった。飲み切るの我慢してください。
抜栓4日目、味の流れが、酸味、果実味、ミネラル(鉄分)、タンニンと順番になった!
香り:チェリー、薔薇の香り、ラベンダー、スモーキー少し薄くなった。
味:タンニンも細かくなった。旨味も出た!
結論
3日目以降から良くなり、4日目に味わいが酸味、果実味、ミネラル、タンニンと順番に並びます。
綺麗に並ぶと開いた証拠です。若い赤ワインは酸味の後タンニンをすぐに感じます。
5日目も凄く楽しみなワインです!4日目で我慢出来ず、美味しくて飲み切りました。
若い赤果実系ワインの扱いは凄く難しいので毎日試飲する事でしっかり感覚を掴んでください。
ピノ・ノワールやネッビオーロ、アリアニコ、サンジョヴェーゼ等偉大な品種は開くのに時間がかかります。
『待つ』と言う感覚をしっかり持って、ワインの1番美味しい状態を楽しんで欲しいです!
ベストペアリング

若い状態なら、
・鳥レバーの旨煮(惣菜)
・鴨の胸肉塩焼き。
赤系果実味は旨味と鉄分の同調を狙うと良いペアリングになります。
晒し玉ねぎ、大根ポン酢等のエグ味をエグ味で合わせるハイレベルなペアリング!是非実践してください。
長ネギ蒸し焼き、しば漬け、茗荷酢味噌、胡瓜や水茄子(塩)、紫蘇などの青いエグ味も合います。エグ味をエグ味で合わせると不思議と美味しさに変わります。(ソムリエでも知らない方が多いです)
3日目以降の香りが開いた状態なら、
・豚バラ、旨味が同調する!美味しい!豚の香りがバラの香りでマスクされて旨味が同調する!
・椎茸塩焼き、香りが椎茸の香りと、旨味が椎茸の出汁と同調!美味い!
・アサリの酒蒸し(旨味を合わせるペアリング)、アサリのコハク酸の旨味と同調!
・ラム肉、ラムの香りに薔薇やラベンダーの香りが補填されて美味しい!
・マグロの刺身を醤油で、鉄分を合わせるペアリング!醤油の香りと鉄分とワインが同調しまくり!
・牡蠣フライ(惣菜)、磯の香りが華やかな薔薇の香りにマスクされて面白いペアリングになります!
結論 若い赤果実系は難しいペアリングと思われがちですが、逆らわずに似た味わいで合わせる事が大切です。エグ味を上手く使えるとプロのソムリエでも知らない2ランク上のペアリングが完成します。
※ちなみに赤系果実の殆どが牛肉(赤身、脂身)と相性が悪いです。牛肉の旨味を全て壊す組み合わせになります。ソムリエでも知らない方が多いので合わない感覚を是非試して欲しいです。
井手のベスト漬物 しば漬け エグ味が旨味に変わる同調ペアリングです。

井手のベストポテチ スッパムーチョ梅味 梅の酸っぱいエグ味が同調しまくりです。

▶︎ 第1回【白】コルタッチ|アルト・アディジェ ソーヴィニヨンの取説はこちら
Vino Hayashi 井手 大阪営業所長 J.S.A.認定ソムリエ
食育アドバイザー 横浜市で誕生 福岡に6年、関西で33年。 O型。42歳。 ワイン業界で約15年、レストランや料飲店での営業のほかにペアリングのコンサルもこなし、飲食とフットサルと笑いを愛するポジティブ関西人! 好きなワインは、弊社取り扱い生産者カステルユゥヴァルのミュラートゥルガウ、コントゥッチのヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノ。