はじめまして、大阪営業所の井手です。
1年間、お届けワインの美味しい飲み方と取扱説明を皆さまにお伝えしていきます。ぜひ参考にしてください。プロのソムリエも知らない知識や独自の観点からワインを分かりやすく説明します。
第1回でお届け
トレンティーノ=アルト・アディジェ州
【赤】コルタッチ|アルト・アディジェ スキアーヴァ アルテ・レーベン “ソンタレール” 2022
飲み頃は?
4日目以降です!
4日目からエレガントな香りが香水の様なワインに変貌します!
開けたては若過ぎてエグ味があります。
2日以内に絶対飲み切らないでください!勿体無い!開いていく過程が分かる貴重な体験です!
※ファインワインと付き合う秘訣は焦れずに『ゆっくりと時間を掛けて香りが開くのを待つ』ことです。
温度帯は?
15〜20℃
ボトルを握って少しヒヤッとする温度
抜栓後、セラーがない場合は冷蔵庫の野菜室で保管してください。
飲む1時間前に冷蔵庫から出してゆっくり室温に戻します。
ジャンルは?(ワインをジャンル分けする事でペアリングや楽しみ方が理解できます)
赤果実系
赤果実系とはピノ・ノワールやネッビオーロ(バローロ)を代表する酸味が強く、色調が赤く濃淡がやや薄い特徴を持つジャンルです。
※赤ワインは大きく分けて赤果実系のジャンル(ピノ・ノワール等)と黒果実系のジャンル(メルロー等)の2種類に分かれる事が多いです。今回は赤系果実の特徴が色濃くでる品種です。
凄く勉強になる品種なのでしっかり楽しみましょう。(井手独自の感覚のジャンル分けです)
タイプ
赤果実系で酸味、果実味と旨味を感じるタイプ(代表品種はピノ・ノワール)
赤果実系の代表的な味わいです!
若いヴィンテージは香りと赤ベリー系の果実味が強く、熟成と共に鉄分や旨味が出てきます。
ピノやガメイが好きな方は凄く勉強になるワインです!飲み疲れしないと言う意識で味わってください。
コレを薄いワインと表現するとワイン経験少ないなと思われます。
ライトボディの味わいの中に好きな要素を見つけてください!
時間と共に香りが溢れてくる良いワインです。
特徴
このタイプのワインはヴィンテージが若いと青いエグ味と咽せる様な加工品の様なベリー系の香りが気になります。良いポテンシャルのワイン程、エグ味や香りが強く出る傾向にあります。しかし香りが開いてくる(加工品→天然の香り)とアロマやハーブ感が溢れ出てきます。味わいも加工品のさくらんぼやジャム感が抜けて鉄分や旨味が感じられるワインに変貌します。抜栓後しっかり時間を使ってワインが開くのをお待ちください。
抜栓1日目 本来なら抜栓するタイミングではない。セラーで2~3年熟成させる方が美味しいワインです。
香り:硬いので香りが弱い、スモーキー、缶詰のサクランボ、線香、鉄分、赤リンゴの皮。
味:スモーキー、鉄分、リンゴの皮、タンニンは細かい、加工品の味、エグ味、酸味と果実味のバランスが悪い、若過ぎる!
硬い!加工品から天然の香りになりつつある。香りの要素が増えてきた。香り味わいに加工品の感じが弱くなってきた。
香り:スモーキーが少し抜けたけど新品のタイヤみたいなゴムの香り、微かにバラやラベンダーの香りが出てきた!
味:未熟なレッドチェリー、加工品の梅、アフターがまだ出ない、リンゴの皮。
抜栓3日目 香りは開いたけど味があと少し。
香り:ラベンダーや赤リンゴの皮の香り。線香に似た軽いスモーキーな香り。
味:良くなってきたけど味はまチャーミングで若い、4日目期待。
抜栓4日目、鉄分がでてきた!後少しです!
香り:鉄分でてきた、アメリカンチェリーの香りが少し出てきた。
味:4日目鉄分が出て良くなったけどまだ少し硬いワインです。
結論 『加工品の香りと味→天然の香りと味』
3日目以降から香りが良くなり、5日目に味わいが整うと思います(すみません4日目で飲み切ってしましました)
温度帯がすごく大切です。低い温度帯だと香りがでません!時間をかけて、香りが溢れる温度帯を探してください。
若い赤果実系ワインの扱いは凄く難しいです。毎日試飲する事で、香りと味わいの変化をしっかり掴んでください。
時間経過と共に『加工品の香りと味→天然の香りと味』と香りと味わいが変化します。アロマやハーブ感が溢れてきます。
ピノ・ノワールやネッビオーロ、アリアニコ、サンジョヴェーゼ等の偉大な品種は開くのに時間がかかります。
『待つ』と言う感覚をしっかり持って、ワインの1番美味しい状態を楽しんで欲しいです!
現実は抜栓すぐに良い状態のワインは中々出会えません!
※市場に出回っているワインは基本的に硬いと認識してください。
ワインバーやレストランでも『3日目のバローロです』や『4日目のピノです』と飲み頃に開いたワインを提供するソムリエが多くいます。
何年も寝かせ、すぐ美味しい状態が理想ですが、ストックできるワインの量と日々提供するワインの量が合いません。
良いソムリエは抜栓して良い状態になるのを待ちます。変化の過程を楽しむのもワインの醍醐味なので時間をかけて楽しんでください。
ベストペアリング
若い状態なら、
・鳥レバーの旨煮(惣菜)
・鴨の胸肉塩焼き。
赤系果実味は旨味と鉄分の同調を狙うと良いペアリングになります。
・晒し玉ねぎ、大根ポン酢等のエグ味をエグ味で合わせるハイレベルなペアリング!是非実践してください。
・長ネギ蒸し焼き、しば漬け、茗荷酢味噌、胡瓜や水茄子(塩)、紫蘇などの青いエグ味も合います。エグ味をエグ味で合わせると不思議と美味しさに変わります。(ソムリエでも知らない方が多いです)
3日目以降の香りが開いた状態なら、
・豚バラ、旨味が同調する!美味しい!豚の香りがバラの香りでマスクされて旨味が同調する!
・椎茸塩焼き、香りが椎茸の香りと、旨味が椎茸の出汁と同調!美味い!
・アサリの酒蒸し(旨味を合わせるペアリング)、アサリのコハク酸の旨味と同調!
・ラム肉、ラムの香りに薔薇やラベンダーの香りが補填されて美味しい!
・マグロの刺身を醤油で、鉄分を合わせるペアリング!醤油の香りと鉄分とワインが同調しまくり!
・牡蠣フライ(惣菜)、磯の香りが華やかな薔薇の香りにマスクされて面白いペアリングになります!
結論 若い赤果実系は難しいペアリングと思われがちですが、逆らわずに似た味わいで合わせる事が大切です。エグ味を上手く使えるとプロのソムリエでも知らない2ランク上のペアリングが完成します。
※ちなみに赤系果実の殆どが牛肉(赤身、脂身)と相性が悪いです。牛肉の旨味を全て壊す組み合わせになります。ソムリエでも知らない方が多いので合わない感覚を是非試して欲しいです。
井手のベスト漬物 しば漬け エグ味が旨味に変わる同調ペアリングです。
井手のベストポテチ スッパムーチョ梅味 梅の酸っぱいエグ味が同調しまくりです。
▶︎第1回【白】コルタッチ|アルト・アディジェ ソーヴィニヨンの取説はこちら
Vino Hayashi 井手 大阪営業所長 J.S.A.認定ソムリエ
食育アドバイザー 横浜市で誕生、福岡に6年、関西で33年。O型。43歳。 ワイン業界で約16年、レストランや料飲店での営業のほかにペアリングのコンサルもこなし、飲食とフットサルと笑いを愛するポジティブ関西人! 好きなワインは、弊社取り扱い生産者カステルユゥヴァルのミュラートゥルガウ、コントゥッチのヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノ。