こんにちは、大阪営業所の井手です。
1年間、お届けワインの美味しい飲み方と取扱説明を皆さまにお伝えしていきます。ぜひ参考にしてください。プロのソムリエも知らない知識や独自の観点からワインを分かりやすく説明します。
第3回でお届け
ヴァッレ・ダオスタ州
【赤】ディー・アンド・ディー|ヴァッレ・ダオスタ ガメイ 2023
飲み頃は?
3日目以降です!
3日目から鉄分が出てきてネッビオーロみたいな味わいに変化していきます!
開けたては若過ぎて加工品のような香りと若い青いエグ味があります。
2日以内に絶対飲み切らないでください!勿体無い!開いていく過程が分かる貴重な体験です!
※ファインワインと付き合う秘訣は焦れずに『ゆっくりと時間を掛けて香りが開くのを待つ』ことです。
温度帯は?
15〜20℃
ボトルを握って少しヒヤッとする温度
抜栓後、セラーがない場合は冷蔵庫の野菜室で保管してください。
飲む1時間前に冷蔵庫から出してゆっくり室温に戻します。
ジャンルは?(ワインをジャンル分けする事でペアリングや楽しみ方が理解できます)
赤果実系
赤果実系とはピノ・ノワールやネッビオーロ(バローロ)を代表する酸味が強く、色調が赤く濃淡がやや薄い特徴を持つジャンルです。
※赤ワインは大きく分けて赤果実系のジャンル(ピノ・ノワール等)と黒果実系のジャンル(メルロー等)の2種類に分かれる事が多いです。今回は赤系果実の特徴が色濃くでる品種です。
凄く勉強になる品種なのでしっかり楽しみましょう。(井手独自の感覚のジャンル分けです)
タイプ
赤果実系で酸味、果実味と旨味を感じるタイプ(代表品種はピノ・ノワール)
赤果実系の代表的な味わいです!
若いヴィンテージは『加工品の赤ベリー中心の香りと果実味』が強く、熟成と共に鉄分や旨味が出てきます。
ピノ・ノワールやネッビオーロが好きな方は凄く勉強になるワインです!飲み疲れしないと言う意識で味わってください。
コレを薄いワインと表現するとワイン経験少ないなと思われます。
ライトボディの味わいの中に好きな要素を見つけてください!
時間と共に香りが溢れてくる良いワインです。
特徴
このタイプのワインはヴィンテージが若いと青いエグ味と咽せる様な加工品の様なベリー系の香りが気になります。良いポテンシャルのワイン程、エグ味や香りが強く出る傾向にあります。しかし香りが開いてくる(加工品→天然の香り)とアロマやハーブ感が溢れ出てきます。味わいも加工品のさくらんぼやジャム感が抜けて鉄分や旨味が感じられるワインに変貌します。抜栓後しっかり時間を使ってワインが開くのをお待ちください。
抜栓1日目 本来なら抜栓するタイミングではない。セラーで2~3年熟成させる方が美味しいワインです。
※抜栓からの香りや味わいの変化を見るには重要な体験になります。
香り:イチゴジャム、加工品の香り、軽く硫黄、乳酸の香り。
味:酸味強いな、スモモ、ウメジュース、梅の仁丹、タンニンが弱い、アフターに酸味が残る。
まだ硬い!乳酸や硫黄の香りは抜けたけど作られた香料の香りがする
香り:鉄分の香りでてきた、加工品の梅ジュースの香りは変わらない。
味:加工品の味、梅仁丹、タンニンが少し出てきた。
抜栓3日目 加工品の香りが抜けてミントや赤紫蘇の天然ハーブの香りが出てきた。
香り:ミント、赤紫蘇、鉄分、セメダイン。
味:少しネッビオーロみたいな味わいになってきた、鉄分強くなった、細かいタンニンも感じる。
抜栓4日目、ピノ・ノワールとネッビオーロを合わせた様なワイン!
香り:りんごの皮の香りでてきた。
味:鉄分、赤紫蘇は変わらず。
結論 『加工品の香りと味→天然の香りと味』
3日目以降から香りが良くなり、5日目に味わいが整うと思います(すみません4日目で飲み切ってしましました)
温度帯がすごく大切です。低い温度帯だと香りがでません!時間をかけて、香りが溢れる温度帯を探してください。
若い赤果実系ワインの扱いは凄く難しいです。毎日試飲する事で、香りと味わいの変化をしっかり掴んでください。
時間経過と共に『加工品の香りと味→天然の香りと味』と香りと味わいが変化します。アロマやハーブ感が溢れてきます。
ピノ・ノワールやネッビオーロ、アリアニコ、サンジョヴェーゼ等の偉大な品種は特に時間がかかります。
『待つ』と言う感覚をしっかり持って、ワインの1番美味しい状態を楽しんで欲しいです!
現実は抜栓すぐに良い状態のワインは中々出会えません!
『市場に出回っているワインは基本的に硬い』と認識してください。
ワインバーやレストランでも『3日目のバローロです』や『4日目のピノです』と飲み頃に開いたワインを提供するソムリエが多くいます。
何年も寝かせ、すぐ美味しい状態が理想ですが、ストックできるワインの量と日々提供するワインの量が合いません。
良いソムリエは抜栓して良い状態になるのを待ちます。変化の過程を楽しむのもワインの醍醐味なので時間をかけて楽しんでください。
ベストペアリング
若い状態なら、
・パプリカ赤、生で美味しい!青味が同調してパプリカの甘味が強調される!
・きゅうり塩、美味しい!エグ味合わせ!アフターの青味も同調して素晴らしいペアリング
・鳥レバーの旨煮(惣菜)、香りが補填されて鳥レバーの旨味が立体的になる!
・なすの漬物、エグ味、青味が同調するおエアリング!
赤系果実味は旨味と鉄分の同調を狙うと良いペアリングになります。
・晒し玉ねぎ、大根ポン酢等のエグ味をエグ味で合わせるハイレベルなペアリング!是非実践してください。
・長ネギ蒸し焼き、しば漬け、茗荷酢味噌、胡瓜や水茄子(塩)、紫蘇などの青いエグ味も合います。エグ味をエグ味で合わせると不思議と美味しさに変わります。(ソムリエでも知らない方が多いです)
3日目以降の鉄分の味わいや香りが開いた状態なら、
・鴨の胸肉塩焼き、鉄分が同調して美味しい!
・豚バラ、旨味が同調する!美味しい!豚の香りがバラの香りでマスクされて旨味が同調する!
・椎茸塩焼き、香りが椎茸の香りと、鉄分が椎茸の出汁とに補填されて美味い!
・ラム肉、ラムの香りに紫蘇やミントの香りが補填されて美味しい!
結論 若い赤果実系は難しいペアリングと思われがちですが、逆らわずに似た味わいで合わせる事が大切です。エグ味を上手く使えるとプロのソムリエでも知らない2ランク上のペアリングが完成します。
※ちなみに赤系果実の殆どが牛肉(赤身、脂身)と相性が悪いです。牛肉の旨味を全て壊す組み合わせになります。ソムリエでも知らない方が多いので合わない感覚を是非試して欲しいです。
井手のベスト漬物 しば漬け エグ味が旨味に変わる同調ペアリングです。
井手のベストポテチ スッパムーチョ梅味 梅の酸っぱいエグ味が同調しまくりです。
▶︎第1回【白】コルタッチ|アルト・アディジェ ソーヴィニヨンの取説はこちら
Vino Hayashi 井手 大阪営業所長 J.S.A.認定ソムリエ
食育アドバイザー 横浜市で誕生、福岡に6年、関西で33年。O型。43歳。 ワイン業界で約16年、レストランや料飲店での営業のほかにペアリングのコンサルもこなし、飲食とフットサルと笑いを愛するポジティブ関西人! 好きなワインは、弊社取り扱い生産者カステルユゥヴァルのミュラートゥルガウ、コントゥッチのヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノ。