
はじめまして、大阪営業所の井手です。
1年間、お届けワインの美味しい飲み方と取扱説明を皆さまにお伝えしていきます。ぜひ参考にしてください。プロのソムリエも知らない知識や独自の観点からワインを分かりやすく説明します。
第9回でお届け
【赤】フォンテフィーコ|モンテプルチャーノ・ダブルッツォ “コッカ・ディ・カーザ”

飲み頃は?
なんと今回も5日目です。5日目に感動的な香水の香りに変わります!
必ず冷蔵庫の野菜室かセラーでも温度が低い設定で時間をかけてください。
常温で保存すると開く前に酸化してしまいます!ここ凄く大切です。
温度帯は?
閉じて香りが出にくいワインなので少し高めの18度〜23度
野菜室から出して40分〜50分時間を置いた温度。
抜栓後はセラーがない場合は冷蔵庫の野菜室で保管してください。
ジャンルは?(ワインをジャンル分けする事でペアリングや楽しみ方が理解できます)

黒果実系
黒果実系とはカベルネソーヴィニョン、メルロー、シラー、サンジョヴェーゼ、モンテプルチャーノ、プリミティーヴォを代表する果実味が強く、色調が赤黒く濃淡が濃い特徴を持つジャンルです。世界中で造る赤ワインの大部分はこのジャンルのワインです。
※赤ワインは大きく分けて赤系果実のジャンルと黒系果実のジャンル2種類に分かれる事が多いです。
今回は黒果実系の特徴が色濃くでるワインです。凄く勉強になタイプなのでしっかり楽しみましょう。
(ジャンル分けは井手独自の感覚のジャンル分けです)

タイプ
果実味とスパイス感が強くタンニンがドライなタイプ(サンジョヴェーゼ、サグランティーノ、タナ(タンニンの語源になった品種)、シラー等)
特徴
このタイプのワインは強いタンニンを感じるワインです。渋い緑茶の様なタンニンです。
舌がタンニンでギュッと引き締まり、口の中の水分を奪います。口の中がカラカラになります。黒果実系の長期熟成ワインに多く感じるタイプです。

1日目 黒系果実の閉じているワイン特有の『墨汁の香り』と若い『乳酸の香り』、まだまだ要素がバラバラで開くのが楽しみなワイン!
香、墨汁、アルコール、微かなカシスやブルーベリー、ミントのハーブ感、乳酸(マロラクティック発酵由来)
味、酸味柔らかい、ブルーベリー、コーヒーの苦味、ドライタンニン。閉じている赤ワインは中間のミネラルや果実味が感じにくい為、タンニンをすぐに感じる。
2日目 まだ乳酸の香りと墨汁の香りが残る。
香、乳酸が抜けない、墨汁の香りも健在。
味、味は広がった!ブルーベリー、カシスが強くでた、タンニンが柔らかくなった!
3日目、あと少しです。
香、ブルベリーの香りが出てきた。
味、2日目と味は変わらない。
4日目、乳酸の香りが抜けたけど重心が低い。
香、乳酸の香りが無くなり、ブルーベリーの香りが残る。
味、味が開いてこない。重心が低いまま(味わいが重たい状態の表現)
5日目、凄い!ラベンダーのような香水の香りが出た!感動です!
香り、ラベンダーのような香水の香りが出た!ここまでのポテンシャルとは!
味、ブルーベリー果実感、重たいドライタンニン。
結論
『待つ』と言うプロセスが如何に大切か!を経験して欲しいです。
5日待つとポテンシャルの高いフローラルなワインに変貌します。
1日目からは想像を遥かに超える香りに変わります!
ワインとの向き合い方が変わる経験です。
ワインと対話する『待つ』楽しさ!
ベストペアリング

レバーのうま煮(イオンの惣菜)旨い。レバーの甘み香ばしさが増してワインの果実味と同調する。ネットリ感をドライなタンニンがゆっくり流して美味しい。ベストペアリング!
鳥レバーや牛レバーのタレ焼きでも代用できます。舌に絡みつくネットリ感をドライ系タンニンで流しながら果実味の補填をします。

マグロ赤身刺身、ブルーベリー感がソースになって甘みが補填される!美味しい!ベストペアリング!
ドライ系のタンニンは魚の臭みを消します。ブルーベリーソースをかけた様な不思議なペアリング体験になります。

スペアリブ、脂をタンニンで流してブルーベリーのソース付けてるみたい!合うね!
豚トロ、脂の多い豚は合う!ブルーベリーソース付けてるみたい!美味しい!

ドライなタンニンの黒果実系ワインは合わせるジャンルが狭いのでチーズをお薦めします。
どのペアリングも同じですが、チーズを合わせるコツはワインとチーズのボリュームを合わせる事です!
なのでフレッシュチーズ以外は合います。(フレッシュチーズの油脂分ではドライなタンニンを流せないからです)
タンニンをチーズの油脂で相殺し、カシス系果実味が補填されます。
スモークチーズ、スーパーで売っているウインナーみたいな形のチーズです。白、ロゼ、オレンジ、赤、何でも合うので便利なチーズです。私は常備しています。スモーク感がペアリングのポイントになるので体感してください!軽く焼いても美味しいです。
カマンベールチーズ(日本産で充分美味しい)、青カビタイプ、ウォッシュタイプ、ハードタイプ。
結論
前回と重複しますが、常識的に考えると和牛や外国産の牛ステーキと相性が良いと考えられますが相性は良くないです。ここ凄く大切なポイントです!(知らないソムリエが多過ぎる)
カシスの果実味は合うのですがドライなタンニンが邪魔になります。是非試してください!!
若いドライ系のタンニンのワインはお肉も含めペアリングする幅が狭いワインです。
本来は肉と内臓等を一緒に煮込んだ料理(ラグー)と合わせる事が多いタイプのワインです。
例えば牛筋の煮込み、鳩や鴨の内臓と一緒に煮込んだ料理や猪の肉と内臓を煮込んだ料理等です。
チーズとの相性は書くまでもないので紹介する予定はなかったのですがドライタンニン系のワインを楽しんで欲しいのでお薦めします。
井手のベスト漬物
糠漬けキュウリ、美味しい!糠漬けの酸味と旨味がワインの果実味と同調して美味しい!アフターも旨味が伸びてくる!タンニン全く感じない!

井手のベストポテチ
ノリ塩、これは旨い!ノリ塩の香りが補填され旨い!

Vino Hayashi 井手 大阪営業所長 J.S.A.認定ソムリエ
食育アドバイザー 横浜市で誕生 福岡に6年、関西で33年。 O型。42歳。 ワイン業界で約15年、レストランや料飲店での営業のほかにペアリングのコンサルもこなし、飲食とフットサルと笑いを愛するポジティブ関西人! 好きなワインは、弊社取り扱い生産者カステルユゥヴァルのミュラートゥルガウ、コントゥッチのヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノ。