「まじめに面白がる」をテーマに、毎月ひとつの土着品種を深掘る「イタリアワイン土着品種研究会」
今回はエミリア=ロマーニャ州のレア品種『ファモーゾ』の歴史とブドウの特徴を解説していきます。
興味がある方は最後までお付き合いください。
ファモーゾの特徴は?
モスカートを思わせるアロマティックな品種で、熟したエキゾチックフルーツやドライフルーツの甘い香りが漂う。
果実やバラの花のアロマは、スパイシーな香りを取り除いたゲヴュルツトラミネールのような印象も。
味わいはフレッシュで流線型、酸が生き生きしており、バランスがよい。
特徴的なアーモンドのようなほろ苦い後味が心地よい。スパークリングワインにも向いている。
ブドウの房と葉っぱの形状は?
果房は中くらいの大きさで、円すい形、実のつき方はまばら。
果粒は楕円形。果皮は黄緑色で、厚く丈夫、蝋粉に覆われている。果肉がしっかりしており、アロマティックで甘い。
成熟はやや早めで通常9月初旬。サイズは中くらいで、楔形をしており、三裂している。
ファモーゾのシノニムは?
Uva Rambela(ウーヴァ・ランベーラ)
ファモーゾの歴史について
ファモーゾはロマーニャ地方の白ブドウ品種で、絶滅寸前まで追い込まれていたが、近年になり見直された品種である。
ファモーゾに関する最初の文献は、1437年にまでさかのぼる。また、デ・ボシスによって編集された『B o l l e t t i n i A m p e l o g r a fi c iProvinciali』(1879年)に記載があり、チェゼーナ地区でファモーゾ(ウーヴァ・ランベーラとも呼ばれていた)が栽培されていたことについて初めて言及された。
ここでは、リミニとペーザロの間のアドリア海沿岸で見られるファモーゾは、チェゼーナのものは異なると定義されている。なお、沿岸で栽培されていたとされる種の痕跡はほぼ失われ、ボローニャ大学のサンタクィリーナ・ディ・リミニの品種保存畑に数個のクローンが存在するのみである。
1900年代初頭、その香りの強さが過剰とみなされ、栽培を中止する生産者が増え、食用ブドウとして地元で消費されるのみとなった。
近年、Tebano(テバノ)のワイン醸造技術支援センターによって、マイクロヴィニフィケーションを用いた実験的栽培が開始され、よい成果が得られたため、2009年にイタリア全国ブドウ品種記録書に登録されるに至った。
現在では、品種由来の特長であるアロマとその滑らかな味わいは、魚介料理やラヴィッジョーロ、スクアッケローネといった地元ロマーニャ地方のフレッシュチーズと理想的な相性であると注目されている。
イタリアワイン土着品種研究会とは?
毎月ひとつのテーマ品種の歴史、特徴、ペアリングなどの解説付きテキストとテーマ品種のワインを2本から3本お届け。
\こんな方におすすめ/
✅ワインショップやレストランに取り扱いがない土着品種に興味がある方
✅知らない土着品種を味わってみたい方
✅ペアリングの基本を学びたい方
✅日本未入荷のワインを愉しみたい方
✅品種の特徴を理解して好みのワインを選べるようになりたい方