「まじめに面白がる」をテーマに、毎月ひとつの土着品種を深掘る「イタリアワイン土着品種研究会」
今回はエミリア=ロマーニャ州のアロマティック品種『ファモーゾ』を楽しむためのペアリングを解説していきます。
興味がある方は最後までお付き合いください。
1 .ファモーゾの外観・香り・味わいの分析
【外観】
(一部の例外を除き、一般的に)濃淡は淡く、グリーンがかったレモンイエローの色調で粘性はやや弱い。
【香り】
モスカート・ビアンコほどはっきりとした華やかさがあるわけではないが、それに通じるようなアロマの要素を感じることができる。
白桃や黄桃などの桃や、黄色のりんご、ライチ、ネクタリン、そしてレモンなどの柑橘類、また白い花(白いバラ、ジャスミン、ライラックなど)の香りも印象的だ。
同時に爽やかなハーブ(レモンバーム、バジル、セージ、ミントなど)も感じられた。その他、生アーモンドのニュアンス、鉱物的なミネラル香もあった。
【味わい】
アタックは力強く、果実の成熟度の高さからくるまろやかな甘み、やや残糖が感じられるものもある。
酸はしなやかで強い。アルコールは高く味わいの骨格となり、タンニンは柔らかいものからしっかり感じられるものまでさまざまだが、強すぎるものではない。
後味に苦味が出ているものもあった。赤い果実の濃厚な風味と少しの甘み、高いアルコールのリッチなフルボディだが、しっかりした酸味があるためバランスは概ね良い。
【まとめ】
アタックは柔らかで、フルーティーな印象。桃やりんご、柑橘類、トロピカルフルーツなど、さまざまなフルーツのトーンを感じることができる。
酸味は中程度で、やや弱めに感じられるものもあり、アルコールは中程度である。ミディアム~やや軽めのボディで後味には軽い苦味、ミネラル感を感じられるものもあった。
果実味中心の、優しくまろやかでゆったりとした味わい、お花とハーブのアロマに包まれるようだ。
2 .ファモーゾのペアリングは?
魅力的な香りがあり、軽めのボディのフルーティーでフレッシュなファモーゾは、スナックや前菜などの軽食があれば十分に楽しむことができる。
ロマーニャ地方の軽食の定番として知られているのはピアディーナ。薄く焼き上げた生地に、地元のハムやフレッシュチーズなどをサンドする。ピアディーナとともにファモーゾを口に含めば、後味に華やかな香りとフルーティーさを添えてくれる。
パーティーの定番のカナッペ、生ハムと桃、または生ハムとメロンを、クリームチーズと合わせて。
タラとじゃがいも、牛乳を煮込んでペースト状にした、ブランダードもおすすめ。
また魚料理なら、ヒラメなどの白身魚やシャコやエビを香草パン粉焼きにして。フレッシュなファモーゾは、ハーブの香りで焼き上げられた魚介類の甘みや香ばしさを引き立ててくれる。
その他、さまざまな魚介類をフライにしたフリット・ミスト、そして白身魚の南蛮漬けもよい。またファモーゾは軽めの味わいのものが多いので、和食との組み合わせも楽しそうだ。
特に柑橘のトーンのあるファモーゾは、柚子の香りのお料理と通じる部分がある。柚子をまるごと器として使った柚子釜蒸しにエビやホタテなどを入れて。素材の甘味を引きたてつつ、香りの調和も感じられるだろう。
【生産者おススメのペアリングは?】
・Piadina con lardo di Mora Romagnola
(モーラ・ロマニョーラ豚のラルドのピアディーナ)
・Piadina con alici e cipolla
(アンチョビとオニオンのピアディーナ)
・Raviggiolo
(ラヴィッジョーロ・チーズ)
・Canocchie gratinate
(シャコのグラタン)
・Canocchie al vapore
(蒸しシャコ)
3 .ファモーゾを美味しく飲むには?
【どんなグラスで飲む?】
白ワイングラスで適温を保ちながら楽しもう。
より香りを堪能したいときは一回り大きめの丸みのあるボウルのグラスで。
【サービス温度は?】
8-12℃
香りの出方と味わいのバランスから、自分好みの温度を探ろう。
【サービス温度いつ開ける?】
1-2年程度
フレッシュさやみずみずしさを失わないうちに、早めに開けよう。
イタリアワイン土着品種研究会とは?
毎月ひとつのテーマ品種の歴史、特徴、ペアリングなどの解説付きテキストとテーマ品種のワインを2本から3本お届け。
\こんな方におすすめ/
✅ワインショップやレストランに取り扱いがない土着品種に興味がある方
✅知らない土着品種を味わってみたい方
✅ペアリングの基本を学びたい方
✅日本未入荷のワインを愉しみたい方
✅品種の特徴を理解して好みのワインを選べるようになりたい方