「まじめに面白がる」をテーマに、毎月ひとつの土着品種を深掘る「イタリアワイン土着品種研究会」
今回はチロルの品種『テロルデコ』を楽しむためのペアリングを解説していきます。
興味がある方は最後までお付き合いください。
1 テロルデコの外観・香り・味わいの分析
【外観】
濃淡は全体的に濃い傾向にあり、若いものは特にはっきりと紫がかっている。
ワインにもよるが、5年程度でおおよそ紫色は抜け、ルビー色からガーネット色に変化するようだ。
粘性は中程度である。
【香り】
よく熟した果実のアロマがはっきりと感じられる。
レッドチェリーやラズベリーといった赤い果実から、ブルーベリー、カシス、ブラックベリーなどの黒い果実まで、いわゆる森の果実のアロマが印象的だ。スミレの花のニュアンスを持つものも多い。
また、ミントやローズマリーのようなフレッシュハーブや、さらにはシダ、樹木、湿った土のような森の中で感じられるようなアーシーなトーンもあった。
ブラックペッパーなどのスパイス香や、インク、タールの要素も感じられた。
【味わい】
アタックは中程度で辛口、香りで感じられた赤や黒のフルーツの鮮やかな果実味がある。酸味は中程度~やや強い傾向にあり、アルコールは中程度である。
タンニン量は少ないものから多いものまで幅があるが、おおよそ細かく溶け込んでるようで、主張しすぎることなない。
後味には特徴的な苦味があり、食事が欲しくなる味わいだ。フルーティーでスパイシー、ハーブとお花の香りが鼻に抜け、早い段階から楽しめる親しみやすさと少しの野性味を持ったミディアムボディの赤ワインである。
【まとめ】
ライトボディタイプからフルボディタイプまで、さまざまなテロルデゴのワインが存在するが、共通しているのは、色が濃く、フルーティーであることだ。
早飲みワインがほとんどだが、収量を低く抑えた一部の特別なワインは、凝縮した果実味と強い骨格があり、10 年以上の熟成も期待できる。
古くからカンポ・ロタリアーノと結びつき、現在もトレンティーノ地方では最も一般的な黒ブドウであるという。ぜひ押さえておきたい品種のひとつだ。
2 .テロルデコのペアリングは?
テロルデゴのワインは決して重すぎることはなく、酸とタンニンが心地よくドライな味わいなので、前菜からメインディッシュまで幅広く料理と合わせることができる。
軽めのテロルデゴは、大麦のミネストラやパスタ・エ・ファジョーリ(うずら豆とパスタのスープ)、カネーデルリ(パン団子)のようなポピュラーで素朴な地元の料理と自然な相性となるだろう。
リゾット・アル・テロルデゴはその名の通り、テロルデゴを使用した香り豊かなリゾットだ。お肉料理と合わせると美味しいリゾットだが、そこにワインを添えることで、さらに昇華した味わいを楽しめそうだ。
ルカーニカ(トレント地方のサルシッチャ)を、炒めたザワークラウトとともに赤ワインで煮たルカーニカ・コン・クラウティも良い。
お肉料理は、牛、仔牛、豚、羊、鹿など、焼いたものから煮込んだものまで、ワインの味わいの強弱や熟成度合いを見極めながら合わせていきたい。
【生産者おススメのペアリングは?】
・Ragu di cervo
(鹿肉の赤ワイン煮)
・Tortel di patate con salumi e formaggi stagionati
(すりおろしジャガイモのフライ。サラミや熟成チーズと共に)
・Stinco di maiale al forno con patate
(豚すね肉のオーブン焼き。ポテト添え)
・Canederli allo speck
(スペックのカネーデルリ)
3 .テロルデコを美味しく飲むには?
【どんなグラスで飲む?】
通常の赤ワイングラスでOK。
凝縮感がある偉大なワインは、大きなグラスで。
【サービス温度は?】
13-18℃
軽めの柔らかな味わいのタイプは低めの温度で、凝縮感や複雑さのあるタイプは16-18℃で。
【サービス温度いつ開ける?】
2-5年程度
フレッシュな果実味を楽しむため早めに開けよう。偉大なワインは10年以上の熟成も可能。ちに、早めに開けよう。
イタリアワイン土着品種研究会とは?
毎月ひとつのテーマ品種の歴史、特徴、ペアリングなどの解説付きテキストとテーマ品種のワインを2本から3本お届け。
\こんな方におすすめ/
✅ワインショップやレストランに取り扱いがない土着品種に興味がある方
✅知らない土着品種を味わってみたい方
✅ペアリングの基本を学びたい方
✅日本未入荷のワインを愉しみたい方
✅品種の特徴を理解して好みのワインを選べるようになりたい方