「まじめに面白がる」をテーマに、毎月ひとつの土着品種を深掘る「イタリアワイン土着品種研究会」
今回は我々も愛してやまない灼熱のプーリア州の品種『プリミティーヴォ』の歴史とブドウの特徴を解説していきます。
興味がある方は最後までお付き合いください。
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▷▶ イタリアワイン土着品種研究会Vol.048プリミティーヴォ
プリミティーヴォの特徴は?
紫がかったルビー色で、熟成が進むと紫がかったガーネット色。
スグリ、洋酒漬けチェリー、ベリーのジャム、煮たプルーンなどの赤い果実の香りに、スミレなどの花のブーケが香り。
木樽での熟成により、タバコ、シナモン、ココア、ブラックペッパー、リコリスなどのスパイシーな香りが現れる。凝縮感があり、アルコールも高いが、タンニンは甘く、口当たりはやわらかい。
ブドウの房と葉っぱの形状は?
果房は中くらいの大きさで、円筒円すい形。やや密着しており、一つか二つの岐肩がある。
果粒は中くらいの大きさで球形。果皮の厚みは中程度で、しっかりと蝋粉に覆われており、濃い青色をしている。
早熟で収穫は一般的に8月末~9月初旬。サイズは中程度、五角形で五裂している。表面は無毛で、深緑色をしていてツヤはない。
プリミティーヴォのシノニムは?
Primativo(プリマティーヴォ)
Primaticcio(プリマティッチョ)
Morellone(モレッローネ)
Uva di Corato(ウーヴァ・ディ・コラート)
Zagareze(ザガレーゼ)
Primativo di Gioia(プリマティーヴォ・ディ・ジョイア)
Zinfandel(ジンファンデル※USA)
プリミティーヴォの歴史について
プリミティーヴォの起源についてはさまざまな説があるが、確かではない。
18世紀の終わりにこの品種がプーリア州の田舎町で栽培されていたことは明らかである。
修道長のDon Filippo Indellicati氏がジョイア・デル・コッレの古い畑からこの品種を選び栽培を始めたことがきっかけで、普及したとされている。
この品種は当時、地元の方言で「ザガレーゼ」と呼ばれていたが、8月中旬頃に他の品種よりもはるかに早く熟すことから、「最初の」という意味を持つラテン語「Primativus」を語源に「プリミティーヴォ」と呼ばれるようになったという。
その後、ジョイア・デル・コッレからサレント地方(現在のターラント県、レッチェ県、ブリンディジ県)全体へと広がっていき、19世紀の終わりにはターラント県で爆発的に広まっていた。
ただし、現在ジョイア・デル・コッレとターラントで普及しているものは遺伝子型が違うと考えられている。
1968年、カリフォルニア大学デイヴィス校のゴヒーン教授が南イタリアを訪れた際、プリミティーヴォとジンファンデルの類似性に気が付いた。
1972年のDNA鑑定の結果、これらは同一の品種であることが判明。その後の広範な歴史的研究によって、ヨーロッパ原産の同一品種であることが証明された。
2000年に入ってから、同じくカリフォルニア大学デイヴィス校による研究に基づきDNA鑑定を行ったところ、ジンファンデル(つまりプリミティーヴォ)がクロアチア南部ダルマチア地方の土着品種「ツーリエナック・カシュテランスキ(Crljenak Kaštelanski)」と同種であることが確認された。
これにより現在では、プリミティーヴォは2000年以上前に古代イリュリア人によって、起源であるダルマチア地方(クロアチア)からアドリア海を経てアプリア地方(イタリア・プーリア州)に伝わったという説が最も有力とされている。
プリミティーヴォの栽培に関して非常に興味深いのが、ラチェーミと呼ばれる二番目の果実が実りやすいということである。
通常の収穫の約20日後にラチェーミは成熟するため、一番目に収穫したブドウの醸造過程で微調整するのに役立つという。
1970年にイタリア全国ブドウ品種記録書に登録された。
イタリアワイン土着品種研究会とは?
毎月ひとつのテーマ品種の歴史、特徴、ペアリングなどの解説付きテキストとテーマ品種のワインを2本から3本お届け。
\こんな方におすすめ/
✅ワインショップやレストランに取り扱いがない土着品種に興味がある方
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