「まじめに面白がる」をテーマに、毎月ひとつの土着品種を深掘る「イタリアワイン土着品種研究会」
今回は幅広く食事に合わせられる軽めの微発泡赤ワイン「ランブルスコ」の歴史とブドウの特徴を解説していきます。
ランブルスコの中でも特に重要な4種をまとめさせていただきます。
興味がある方は最後までお付き合いください。
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▷▶ヴェントゥリーニ・バルディーニ|レッジャーノ ランブルスコ スプマンテ ロザート “カデルヴェント”
LAMBRUSCO DI SORBARAの特徴は?
ロゼのような淡いルビー色。際立った酸と上品な赤系果実や花束の香り。渇きが良く、優しいタンニンで心地よい飲み口。
ブドウの房と葉っぱの形状は?
果房は中程度の大きさ、形は長いピラミッド形。密着していない。果粒はやや大きめ、やや円形。
果皮は黒みのある青色で、厚め。収穫の時期は、9月下旬~10月初旬。
やや小さめ、五角形で浅く三裂している。緑色で、表面はなめらか。
LAMBRUSCO SALAMINOの特徴は?
サラミーノはソルバーラとグラスパロッサの中間のボディをもつ。熟した果実や上品な芳香性のある花の香り。ミネラルがあり、酸とタンニンのバランスが良く、中程度の構成。
ブドウの房と葉っぱの形状は?
果房はやや小さめ、形は円筒状かやや円錐状でコンパクト。果粒は中程度の大きさで、やや楕円形で不揃い。
果皮は黒みのある青色で、特別厚くはないが固め。収穫の時期は、他のランブルスコ種よりもやや早く9月20日~10月初旬。
中程度の大きさで、五角形で三裂または五裂している。深い緑色で、表面にぶつぶつがある。
LAMBRUSCO MAESTRIの特徴は?
紫がかったやや濃いルビー色でフルーティー。フレッシュな花の香り。タンニンとアルコール感もあり、凝縮感を感じられる。
ブドウの房と葉っぱの形状は?
果房は中程度の大きさ、形は円筒状か長いピラミッド形でややコンパクト。果粒はやや小さめ、やや楕円形。果皮は黒みのある青色で、厚い。収穫の時期は、9月25日~10月5日。
中程度の大きさで、浅く三裂している。深い緑色で、表面は無毛。
LAMBRUSCO GRASPAROSSAの特徴は?
濃いルビー色でしっかりとした味わい。スミレなどの花の香り、赤系果実の充実した香りと味わい。タンニンも豊富で酸が支えている。
ブドウの房と葉っぱの形状は?
果房は中程度の大きさで形はピラミッド形。密着していない。果粒は中程度の大きさ、やや楕円形か円形。果皮は黒みのある青色で、厚く丈夫。収穫の時期は、一般的に9月30日~10月10日。
中程度の大きさで、丸みのある五角形で三裂している。深い緑色で、表面は波状に歪みがある。
ランブルスコの歴史について
ランブルスコ種は、主にエミリア=ロマーニャ州のパルマより東のレッジョ・エミリア県、モデナ県とロンバルディア州のマントヴァ県に栽培されている黒ブドウ土着品種群の総称である。
とりわけ、これらのブドウ品種から造られる同名の微発泡性の赤ワインが有名なところだが、その使用品種も含め現在14のランブルスコ系品種が登録されている。
ランブルスコ種に関して様々な歴史的文献が残っているが、その起源はエトゥルスキの時代まで遡ると言われる。
紀元前2世紀、大カトーの『De Agri Cultura(農業論)』という著書において「種から育った野生のブドウ樹」のことを意味するLabrusca(ラブルスカ)という名称が確認されている。中世にはボローニャのLambrusca(ランブルスカ)と呼ばれるブドウ樹から造られたワインについての文献が見つかり、さらに1596年にバッチ氏が、野生のブドウの樹のことではなく一種のブドウ品種のことをLambrusco(ランブルスコ)と呼称した。
長い歴史において、エミリア=ロマーニャ州のパダナ平野のような地域では、野生と栽培の線引きは非常に曖昧で、常に混乱をもたらしてきた。
17世紀頃には、ようやく細かな品種分類や研究も行われるようになっていくが、当時でも50種類のランブルスコ種が存在し、そのうちの半数は白ブドウと言われる時代であった。
その後、1906年にモロン氏が23種(うち白ブドウ1種)に訂正し、1960年代にはコズモ氏やポルシネッリ氏が、ランブルスコ種は10種のみで全て黒ブドウとした。
2001年のカロ氏による著書では全8種と選定されたが、近年の更なる研究で登録品種の増減があり、現在の14種(※)に至ったとされる。
※Registro Nazionale delle V arietà di Viteに登録されているランブルスコ系品種
1960年代までは、ランブルスコ種のワインは収穫翌年の春にボトル詰めが行われていた。伝統的にボトルの中に糖と酵母を残し再発酵させるが、澱がボトル内に残り、夏の暑い時期に攪拌をしてしまうとワインの質が落ちる傾向があった。
そのため市場では多くが量り売りに限定されており、ボトル詰めは家で行われていたという。
1970年代になると、畑や醸造施設へテクノロジーが導入され、ワイン醸造により注意を払えるようになった。専用のステンレスタンクでスパークリングの工程(タンク内二次発酵)を行うことが可能になり、ワイナリーでのボトル詰めも問題がなくなった。
今日では、澱を残してボトル内の再発酵を必要とするランブルスコのワインは珍しくなった。
イタリアワイン土着品種研究会とは?
毎月ひとつのテーマ品種の歴史、特徴、ペアリングなどの解説付きテキストとテーマ品種のワインを2本から3本お届け。
\こんな方におすすめ/
✅ワインショップやレストランに取り扱いがない土着品種に興味がある方
✅知らない土着品種を味わってみたい方
✅ペアリングの基本を学びたい方
✅日本未入荷のワインを愉しみたい方
✅品種の特徴を理解して好みのワインを選べるようになりたい方
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