「まじめに面白がる」をテーマに、毎月ひとつの土着品種を深掘る「イタリアワイン土着品種研究会」
今回はトレンティーノを代表する品種『テロルデコ』の歴史とブドウの特徴を解説していきます。
興味がある方は最後までお付き合いください。

テロルデコの特徴は?
濃く、緻密で厚みのある色。
熟したチェリーやブルーベリーなど、森の果実中心のフルーティーなアロマ。
さらにブラックペッパーやキナ、ルバーブなどのバルサム系の香りに、ミントのような涼しい香りも存在し複雑。
味わいは柔らかく、中程度のストラクチャーを持ち、ほどよい酸味によって立体的な味わいに仕上がる。

ブドウの房と葉っぱの形状は?
果房は中くらいの大きさで、細長いピラミッド型、平均的にコンパクト。時に二つの小さな岐肩を持つ。
果粒は中くらいの大きさで球形。果皮は青黒色をしており、厚く丈夫で、しっかりと蝋粉に覆われている。成熟は通常9月末~10月上旬。
葉っぱのサイズは大きめ、やや長めの五角形で三裂している。
テロルデコゾのシノニムは?
Teroldigo(テロルディゴ)
Teroldega(テロルデガ)
Teroldico(テロルディコ)
Tiraldola(ティラルドラ)
テロルデコの歴史について

テロルデゴの名前の由来は、確かな証拠はないが、チロルとの国境地帯で栽培されているブドウであることがこの言葉に結びついたのであろう。
「ティロルデゴ」「ティラルデガ」「ティロルデラ」「ティロルディゴ」などは、ゲルマン語の「黄金」と「チロル」の語源を組み合わせた言葉の同義語である。
実際、ウィーンの宮廷で、このブドウから造られたトレンティーノのワインを「チロルゴールド(チロルの黄金)」と呼んでいた。
つまり、この地域の文化的アイデンティティを象徴するワインであったのであろう。なお、ガルダ湖周辺ではこのブドウは「Tirodola ティロドーラ」と呼ばれており、その名前はtirelleという支柱で栽培されていたことに由来するとの説もある。
テロルデゴは、1811年にフィリッポ・レーが編纂した『A nali dell'Agricoltura del Regno d'Italia』
において初めて言及され、その後ポリーニ(1819)、アセルビ(1825)、マッハ(1894)の研究で初めて詳しく記述された。また、ゲーテ(1876)はチロルのブドウ品種としてこの品種を挙げた。
ガッロ(1947)は、ヴェロネーゼの古文書に登場する「テロドーリ」という品種が、谷底の肥沃な土地、川の勢い、穏やかな気候に魅せられた移住民によってアディジェ渓谷に持ち込まれたと主張している。
おそらく、この品種は近隣のヴェロネーゼ平野からトレンティーノにもたらされたのではないかと推定される。
最近のDNA研究により、テロルデゴはラグレイン、マルツェミーノ、シラーと近縁であることが判明した。
1970年にイタリア全国ブドウ品種記録書に登録された。
イタリアワイン土着品種研究会とは?
毎月ひとつのテーマ品種の歴史、特徴、ペアリングなどの解説付きテキストとテーマ品種のワインを2本から3本お届け。
\こんな方におすすめ/
✅ワインショップやレストランに取り扱いがない土着品種に興味がある方
✅知らない土着品種を味わってみたい方
✅ペアリングの基本を学びたい方
✅日本未入荷のワインを愉しみたい方
✅品種の特徴を理解して好みのワインを選べるようになりたい方