「まじめに面白がる」をテーマに、毎月ひとつの土着品種を深掘る「イタリアワイン土着品種研究会」
今回は長期熟成に向いてる品種『ピニョーロ』の歴史とブドウの特徴を解説していきます。
興味がある方は最後までお付き合いください。
【 テーマ品種ピニョーロのワインとテキスト付セット】
▷▶ イタリアワイン土着品種研究会Vol.029ピニョーロ
【ワイン単品はこちら】
▷▶ボルゴ・サン・ダニエーレ|イソンツォ・デル・フリウリ ピニョーロ “アルビス・ロス”

ピニョーロの特徴は?
しっかりした構成でアルコール感を感じるワインとなるが、酸がバランスを整えている。充実したタンニンが特徴的。
木樽での熟成に定評があり、長期熟成させるタイプが一般的である。

ブドウの房と葉っぱの形状は?
果房は小さな円筒形、コンパクト。果粒の大きさは中程度か小さめで丸みを帯びている。
皮はやや厚めで硬い。濃い青黒色で、表面は蠟質の白い粉で覆われている。通常10月中旬頃に成熟する。
葉っぱの大きさはやや小さめ。通常、三裂しており深い緑色。厚さは薄いが、強い。
リボッラ・ジャッラのシノニムは?
Pignul(ピニュル)
ピニョーロの歴史について

ピニョーロは、フリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州原産の歴史的な黒ブドウ品種の一つである。
ピニョーロという名称は、Pigna(ピーニャ=松かさ)に由来する。
ブドウの実がコンパクトでまとまりがあり、その形状が松かさに似ていることからこの呼称になったと考えられる。
その歴史は1300年代まで遡り、フリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州の東側ロザッツォの狭いエリアの丘陵地で栽培されていたという。
神父ジョバッタ・ミキエーリ氏の書いた賛歌『フリウリのバッカス』の中にもピニョーロのワインが登場している。
またロザッツォのカトリック修道院においてもブドウの植樹が確認されており、1700年代には「ピニョーロ、漆黒の素晴らしきワイン」と様々な文献で評価された。
1800年代、Pignùl(ピニュル)とも地元では呼ばれるようになり、1823年にはロンバルド=ヴェネト王国(1815-1866)のブドウ品種カタログにもフリウリの品種として記載された。
生産力の低さやオイディオ病(葉や実に白い粉のようなものが付着する病気)への耐性の弱さから徐々に栽培の規模は縮小していき、重ねてフィロキセラ禍(※)の影響から1900年代初頭にはほぼ絶滅するにまで至った。
※フィロキセラ禍・・・1800年代後半に欧州をはじめ世界中のブドウ樹に大打撃を与えた小害虫の蔓延
1970年代、国内で“失われた土着品種の再生”の動きが広がり徐々に復活の兆しが見えるようになると、1981年、フィロキセラの厄災を逃れた100年以上の樹齢のピニョーロの樹がロザッツォ修道院で奇跡的に発見され、栽培家たちが植え替えを行った。
ピニョーロは情熱的な現代の栽培家たちによってその歴史が守られることとなり、他の黒ブドウ品種、Schioppettino(スキオッペッティーノ)やTazzelenghe(タッツェレンゲ)などと共にフリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州の典型的土着品種の一つとしてその価値を誇っている。
1977年にイタリア全国ブドウ品種登録書に登録された。
Pignola Nera(ピニョーラ・ネーラ)、Pignola Valtellinese(ピニョーラ・ヴァルテッリネーゼ)らの品種とは無関係である。
1995年よりDOCフリウリ・コッリ・オリエンターリにおいてピニョーロ種100%のワインが認められている。
イタリアワイン土着品種研究会とは?
毎月ひとつのテーマ品種の歴史、特徴、ペアリングなどの解説付きテキストとテーマ品種のワインを2本から3本お届け。
\こんな方におすすめ/
✅ワインショップやレストランに取り扱いがない土着品種に興味がある方
✅知らない土着品種を味わってみたい方
✅ペアリングの基本を学びたい方
✅日本未入荷のワインを愉しみたい方
✅品種の特徴を理解して好みのワインを選べるようになりたい方
【 テーマ品種ピニョーロのワインとテキスト付セット】
▷▶ イタリアワイン土着品種研究会Vol.029ピニョーロ
【ワイン単品はこちら】
▷▶ボルゴ・サン・ダニエーレ|イソンツォ・デル・フリウリ ピニョーロ “アルビス・ロス”