
東京 世田谷の閑静な住宅街。ここで自宅のダイニングを開放し、富岡清美さんはイタリア料理とテーブルコーディネートの教室を開いています。そこで富岡さんが提案しているのは、家でも簡単に作れるイタリアン。そして、美容にも健康にもいいイタリアンです。
凡々とした毎日の暮らし。でも、そんな日常も、ちょっとした料理やテーブルコーデのコツを掴むだけで、生き生きとして豊かなものになる。食卓という暮らしの一コマを、イタリアンという切り口で楽しくさせていくのが富岡さんのフィールドです。
そんな富岡さんのご自宅を訪ね、美味しい料理をいただきながら、イタリア料理について、はたまた教室を立ち上げるに至ったライフストーリーなど、お話を伺ってきました。
実は富岡さん、Vino Hayashiのサブスク企画「パスタ大好き!」を一年間購読してくれた方でもあります。「パスタ大好き!」が富岡さんの目にはどのように映ったのか。そんな話も聞かせてもらいました。

PROFILE
富岡 清美(とみおか きよみ)
イタリア料理研究家。1972年生まれ、埼玉県行田市出身。
大学卒業後、テレビ制作会社や特許事務所で働きながら、さまざまな料理教室に通い腕を磨く。イタリア料理研究家のアシスタントを経て講師となり、2018年からは自身の主宰でイタリア料理&テーブルコーディネート教室「しあわせイタリアン」をスタート、口コミで広がる人気教室となる。アンチエイジングフードマイスター、野菜ソムリエの資格を持ち、美しく健康になるイタリアンを掲げ、企業とのレシピ開発なども展開している。
イタリアンにハマる
— 富岡さんはどんなきっかけがあって、イタリア料理の世界にのめりこんでいったんですか?
私、食べること、お料理が好きで、それでOLをしながら、いろんな料理教室に行って勉強してたんですね。和食とか中華、洋食、あとフレンチもそうですし。それで最後にたどり着いたのがイタリアンで、そのときに「これをやりたい」と思えたんですよ。

その当時は、OLをしながら、自分が夢中になれる、一生続けていけるライフワークのようなものを見つけたいなと思ってたんです。それでいろいろな習い事をしてたんですけど、その中でいちばん続いたのがお料理で、そのお料理の中でも、20代の終わり頃だったと思うんですけど、最後にイタリア料理に出会ったんです。
それでどんどんハマっちゃって、習うだけじゃ物足りなくなって、イタリア料理研究家の先生のところに弟子入り志願して、アシスタントを始めたんですね。
— どれくらいの期間やられたんですか?
アシスタントは一年ぐらいだったかな。それで、その先生のところで声をかけていただいて、今度は講師になったんです。それをきっかけにOLは辞めて、しばらくそこで料理教室の講師をやっていたんですね。
でもそのあといろいろあって、いったんイタリア料理の世界から離れたんです。そこから出産とかがありまして、娘が幼稚園に入ったときに、ママ友から「イタリア料理を教えてほしい」って頼まれて、
— それは個人的に頼まれたんですね?
そうです。「今までイタリア料理をしてた」っていう話をしたら、ぜひ教えてほしいっていうことで。
それで、自宅で教室を開いたのが始まりですね。

— いったんイタリア料理の世界から離れようと思ったのは、何かあったのですか?
先生の教室で講師になったんですけど、ちょっと先生といろいろあって、だんだん人間関係が難しくなってきて、苦しくなってしまって。それで、一時期はイタリア料理が嫌いになりそうなぐらいにまで拗れてしまって。いったんその世界から離れ、まったく違うことをやろうかなと思ってた時期があったんです。
それで、仕事は関係なく自分がやりたかったことをいろいろやってみようと思って、カメラの勉強とかもしてたんですね。
そのうち年齢を重ね、子どもを出産して、子どもが幼稚園に入ってちょっと余裕が出てきたときに、ふと「自分が今、周りの人のために何ができるんだろうな」って思ったんです。
そのときに、自分がずっとやってきたことはやっぱり料理だなと思ったんです。そしたらちょうどそのころママ友に、さっきお話ししたように、「イタリア料理やってるのなら教えてほしい」って言われて。それで始まったんですね。

しあわせ&ヘルシーなイタリアン
— 教室を開いたのは何年のときですか?
娘が年中のときに初めてここ(自宅)でちょっとイベントをやったんですよ。なので、2018年ですね。そこから、どんどん口コミで頼まれることが増えて、教室を開くようになったんです。
で、そうこうしているうちにコロナになってしまって、なかなか自宅で教室を開くのが難しくなってしまったので、今度はインスタグラムで自分のレシピを発信し始めたんですね。そこからのご縁で今はいろいろ、企業さんからレシピ開発の仕事をいただくようになって、今はどっちかっていうとそっちがメインになってきている感じです。
— ちなみにイタリアンのどんなところにハマったんですか?
イタリアンは調味料がシンプルで、味付けもシンプルなんです。素材を生かしたお料理ですよね。塩胡椒とオリーブオイル、ニンニク、ケッパー、ヴィネガー。それぐらいで本当に美味しくできちゃうし、アバウトでもそこそこ美味しくできちゃう。

もともと私、性格がわりと大雑把なんですね。例えばお菓子作りで分量を間違えちゃいけないとか、そういう細かいのはちょっと面倒くさいとか思っちゃうんです(笑)。あとフレンチだと、ソースを凝って作って、それが胃にもたれちゃったりする。その点、イタリア料理はもっと簡単にできて、美味しくて、なおかつ素材の味をそのまま生かしたお料理で、ヘルシーですよね。
イタリア料理に太るイメージを持ってる方ってけっこう多いと思うんですけど、実際はすごくヘルシー。自分にも家族にも毎日食べさせられるお料理。なのでお家では、「和食4:イタリア料理6」くらいの割合で食べてる感じですね。
— 料理教室の「しあわせイタリアン」っていう名前は、富岡さんのネーミングですか?
そうなんです(笑)。
これはイタリアンというお料理を通して、自分も幸せになるし、作った生徒さんも幸せになるし、生徒さんもまた家族にイタリアンを作って、幸せの輪が広がっていくっていうイメージで、そう付けたんです。

珍しいパスタを食べてみたい
— ご自身でイタリア料理について学び、イタリア料理の教室を主宰されてきた富岡さんが、なぜまた「パスタ大好き!」を購読しようと思われたんですか?
そもそも私、イタリアンにはまったのが、パスタが大好きだったからなんですよ。パスタだったら毎日食べても飽きないくらい好きで、それで今回、あらためて自分でも勉強したいなあと思ったんです。
いろんなイタリアのパスタ、各地の郷土パスタが食べられる。お店に行っても自分では注文しないような、ちょっと珍しいパスタが多かったので、そういうのを食べてみたいと思いましたし、自分でも勉強して、教室の生徒さんにも伝えられたらいいなと思って、それで頼んだんですけど良かったです。

— 実際に「パスタ大好き!」を受講したことで、教室の生徒さんに伝えたり振舞ったりっていうことはあったのですか?
「パスタ大好き!」をとった期間が、ちょうどコロナの時期と重なってしまって、教室をクローズしてたときなので、残念ながら教室の生徒さんにっていうことはできなかったんですけど、また再開したときにはぜひ伝えたいなって思ってるんです。
とにかくテキストがすごくいいですよね。とっても詳しく書かれていて、イタリアの地方のお話もあって、その土地のパスタが届けられる。横に置いて読みながら家族と一緒に食べてましたよ。
写真も綺麗だったので、私自身、イメージを膨らませながらパスタを食べることができたし、娘にとってイタリアはまだ行ったことのない知らない土地なんですけど、その土地の暮らしも伝えながら家族で食卓を囲むことができたので、コロナで大変なときだったんですけど、すごく食卓が豊かになったというか、ありがたかったなあと思います。

イタリア料理研究家があらためてパスタを勉強する、そのワケ。
— 富岡さん自身は、イタリアへは?
私は旅行程度なんですけど、何度か行きまして。
実は結婚して間もなくの時に、イタリアに料理留学に行こうか迷った時期があったんですけど、結婚したばかりで主人も仕事が忙しかったので、行っちゃうとたぶん家庭がうまく行かなくなっちゃうだろうなと思って、そのときは諦めたことがあったんです。でもいつか向こうに行けたらいいなと思ってるんです。
なので、イタリア料理研究家の先生から離れてからは、もう日本にいながらの独学みたいな感じだったので、Vino Hayashiさんの企画は勉強の教材としてとても役立ってますよ。

— 富岡さんのようなイタリア料理研究家の方が、あらためて「パスタ大好き!」で勉強することには、どんな意味があったりするんでしょうか?
やっぱりみなさん、近所のスーパーで手に入るものを使って家でも簡単に作れる、そういうお料理を求められるので、教室で作るものは、どうしてもそういうお料理になるんです。でも「パスタ大好き!」のパスタは、けっこう手間がかかるようなものですよね。だから教室ではメニューとしては取り上げられないけれど、「こういう地方ではこういうパスタを食べている」っていうのを知識で知っておくのは、すごく大事だと思うんです。そういう意味でもとても勉強になりました。
私自身、イタリアに住んでいるわけでもないですし、しょっちゅう旅行に行けるわけでもないので、こんなふうにいろんな郷土パスタを全部食べられるっていうのはなかなかないんです。しかもシェフの味をいただけるっていうのは、私にとってはすごく良かったです。向こうの人は本当にこういうのを食べてるんだなっていうのがわかって。
でも日本人がイメージしてる食べやすいパスタの感覚で食べると、「わっ、なんかすごいクセがある」、そういう風に思う人もいるのかなあ。
— まさにそんな感想もいただいてます。ただ、それがその土地の食文化で、旅するというのはまさにそういうことなので、本場の料理のクセも含めその面白さが伝わるようにしたいなあとは思ってます。
あるといいな、パスタとワインのペアリングセット。
— ちなみに全12回の中でいちばん印象に残ってるパスタはなんでしたか?
あの大きな円いパスタ。これですね、クロゼッティ。インパクトありましたね。すごくかわいくて、お料理教室でもこれは作ったことがなかったので、娘も「こんなの見たことない!」っていう感じで食卓が華やぎましたよ。


こういうパスタは、日本にはあんまりないですよね? 現地じゃないとなかなか手に入らないですよね。だからすごい良かったです。ソースもけっこう独特なソースとかありましたし、チーズもちゃんと削ったものがついてきて、そういうのも良かったです。
— 逆に、こういうのをやったらもっといいのになあっていうアイデアや思うところはありましたか?
そうそう、パスタ4食分のお届けになってますけど、パーティー向けにもっと多めのものがあったらいいなあって思ったのと、そのパスタと合うワインをペアリングしたセット売りっていうのもあっていいんじゃないかなと思いました。ワインだけ別注文だとちょっと面倒くさくなっちゃうけど、セットで届けば、それこそパーティーにもいいですよね。
— ペアリングの方はまさに今それができないか動いてるところです。どちらも、なるほど、確かに良さそうですね。ありがとうございます。

キッチン雑貨も売りたい
これから「こんなことをやっていきたいな」っていう夢はありますか?
すごい夢なんですけど、イタリアとのデュアルライフを送りたい(笑)。
— 向こうに拠点を作って?
はい。憧れですけど。
で、向こうでいろいろ食材とかを買って、こっちで料理教室する、みたいな。
あと向こうのキッチングッズ、素敵なものがいっぱいあるじゃないですか。そういうのを日本に紹介したりとか、そういうことはやってみたいなと思いますね。
— 雑貨屋さんみたいな?
そうですね、キッチン専門の。それこそキタッラを作る弦の道具とか、なかなか日本にないので、そういうのを紹介して売りたいな(笑)。
— 富岡さんの世界がどんどん広がっていきますね。
今日はいろいろお話を聞かせていただき、美味しい料理までご馳走になり、ありがとうございました。

富岡清美さんのレシピ動画もぜひチェックしてみてください。
Instagram: https://www.instagram.com/kiyomitomioka/
オリジナルテキストを試し読み
読み応えある当講座のオリジナルテキストを試し読みしたい方は是非ご覧ください。
▷▶幻のパスタ「クロゼッティ」を見る
パスタ大好き!とは?
レストランの厨房で一つひとつ丁寧に作られ、日本ではなかなか味わえない、多種多彩な本場のパスタ料理を完全再現してお届けします。
興味ある方は「パスタ大好き!の詳細を見る」よりご覧いただけます。
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