大阪営業所の井手です。
1年間、お届けワインの美味しい飲み方と取扱説明を皆さまにお伝えしていきます。ぜひ参考にしてください。プロのソムリエも知らない知識や独自の観点からワインを分かりやすく説明します。
第8回でお届け
ウンブリア州
【赤】レ・チマーテ|モンテファルコ・ロッソ 2020
飲み頃は?
なんと3日目〜5日目にかけてです。長期熟成タイプの『タンニンザラザラ』ワインは時間が必要です。
開けたてから香りは出ていますが、強いタンニンをアタックと同時に感じます。これは硬い証拠です。果実味より後にタンニンを感じる事が理想ですが、果実味と同時ぐらいでも美味しい状態です。
果実味より前にタンニンを感じると、舌が収斂されて果実味やミネラルや樽感などの要素が感じ難くなります。
兎に角、時間をかけてください!
抜栓後は必ず冷蔵庫の野菜室かセラーの温度が低い設定で時間をかけて保存してください。
常温で保存すると開く前に酸化してしまいます!ここ凄く大切です。
温度帯は?
硬くて香りが出にくいワインなので少し高めの20度〜24度
部屋が25度の場合、野菜室から出して40分〜50分時間を置いた温度。
抜栓後はセラーがない場合は冷蔵庫の野菜室で保管してください。
ジャンルは?(ワインをジャンル分けする事でペアリングや楽しみ方が理解できます)
黒果実系
黒果実系とはカベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、シラー、サンジョヴェーゼ、モンテプルチャーノ、プリミティーヴォを代表する果実味が強く、色調が赤黒く濃淡が濃い特徴を持つジャンルです。世界中で造る赤ワインの大部分はこのジャンルのワインです。
※赤ワインは大きく分けて赤系果実のジャンルと黒系果実のジャンル2種類に分かれる事が多いです。
今回お届けのワインは、
『サンジョヴェーゼ』、『レフォスコ』、『タナ』、『サグランティーノ』は全て10年以上熟成可能な長期熟成ワインの品種です。
サンジョヴェーゼは長期熟成の代表品種です。レフォスコも北東部では有名な長期熟成ワイン品種です。
特にタナはタンニンの語源になった品種と言われています。サグランティーノも世界でもトップクラスのタンニン含有量と言われる品種です。長期熟成4品種を見事に配合したタンニンバシバシの漆黒ワインです!
舌が締め付けられるギスギス感を楽しみましょう!
今回は黒果実系の特徴が色濃くでるワインです。凄く勉強になタイプなのでしっかり楽しみましょう。
(ジャンル分けは井手独自の感覚のジャンル分けです)
タイプ
果実味とスパイス感が強くタンニンがドライなタイプ(サンジョヴェーゼ、サグランティーノ、タナ(タンニンの語源になった品種)、シラー等)
特徴
このタイプのワインは強烈なタンニンを感じるワインです。渋い緑茶の様なタンニンです。
舌がタンニンでギュッと引き締まり、口の中の水分を奪います。口の中がカラカラになります。黒果実系の長期熟成ワインに多く感じるタイプです。
タンニンが強烈!黒果実系ワインは高めの温度で味わってください!
1日目 墨汁の香りは硬い証拠です!黒果実系特有のカシス黒ベリーの香りを感じます!
香り:巨峰、ラベンダー、墨汁、アルコール。。
味:柔らかい酸味、強烈なタンニンが先にくる。カシス系の果実味を感じるがタンニンで姿が見えにくい。
※果実味より前にくるタンニンが日を追うごとに、果実味と入れ替わります。抜栓からの開いていく熟成をしっかり捉えてください!
2日目 墨汁が少し抜けて開いてきた!香りにラベンダーやカシスが強くでてきた。
香り:アルコール、墨汁、カシス、ラベンダー。
味:カシス、果実味が少し前に出てきたけどまだ硬い、鉄分でた、タンニン強烈やな。
3日目、香りが開いた!香水みたい!果実味はもう少し!
香り:カシスの香り、赤りんご、鉄分が強く出た、ラベンダー心地よい。香水みたい!
味:柔らかい酸味、カシスと鉄分の後にゴリゴリのタンニンくる!
4日目、開いた!果実味の後にタンニン、少し温度高めで飲むと美味しい!
香り:鉄分、ラベンダー、カシスの香り。
味:鉄分、黒ベリーの凝縮した果実味、タンニンが少し柔らかくなった、開いた。
5日目、流石!長期熟成型ワイン、5日目もポテンシャルが伸びる!超熟用ワイン、7日は保つな!
香り:変わらず良い状態!
味:果実味が強く感じる!
結論
黒果実系ワインが開く過程を学ぶことが出来る貴重な体験になります。
3日目から開き始め、4日目、ポテンシャルの高いファインワインに変貌します。
硬い長期熟成ワインは抜栓から開くのに時間がかかります。
待って待って開いた時の感動は格別です!
香り:イタリアの良いワインは鉄分の香りが強く出てきます。
若くて硬いワインは乳酸の香り(ヨーグルトの香り)や墨汁の香りがします。
味:酸味→果実味→ミネラル(複雑な味わい)→タンニン→樽感と順番に並ぶのを待ちます。
ベストペアリング
・レバーのうま煮(イオンの惣菜):旨い。レバーの甘み香ばしさが増してワインの果実味と同調する。ネットリ感をドライなタンニンがゆっくり流して美味しい。ベストペアリング!
・鳥レバーや牛レバーのタレ焼きでも代用できます。舌に絡みつくネットリ感をドライ系タンニンで流しながら果実味の補填をします。
・豚スペアリブ、タンニンは少しザラつくけどカシスや黒ベリー系の果実味はお肉のソースみたいになる!
・椎茸グリル、凄く合う!タンニンが消されて椎茸の旨味と黒ベリー系の果実味が合う!
・マグロ、美味しいな!カシスの果実味と合うわ!タンニンもまーまー消されて美味しい!醤油付けたらもっと合う!鉄分が伸びる!
・脂の乗った秋刀魚や塩サバ、鉄分が出た状態で合わせてください。
ドライ系のタンニンは魚の臭みを消します。カシスのソースをかけた様な不思議なレアペアリング体験になります。
・スモークチーズ:スーパーで売っているウインナーみたいな形のチーズです。
・カマンベールチーズ(日本産で充分美味しい)、青カビチーズ
・フレッシュチーズ以外は合います。タンニンをチーズの油脂で相殺し、カシス系果実味が補填されて合います。
結論
常識的に考えると和牛や外国産の牛ステーキと相性が良いと考えられますが相性は然程全く良くないです。
ここ凄く大切なポイントです!(知らないソムリエが多過ぎる)
カシスの果実味は合うのですがドライなタンニンが邪魔になります。是非常識と思われているペアリングを試してください!!
若いドライ系のタンニンはお肉も含めペアリングする事が難しいワインです。
本来は肉と内臓等を一緒に煮込んだ料理(ラグー)と合わせる事が多いワインです。
例えば牛筋の煮込み、鳩や鴨の内臓と一緒に煮込んだ料理や猪の肉と内臓を煮込んだ料理等です。
・海の無いウンブリア州、代表的なワインのモンテファルコ・ロッソは山の幸のジビエの煮込みと共に育ったワインです。肉や内臓を煮込んだ料理がベストペアリングになります!
イタリアワインとは食文化は切り離せないと再確認しました。
井手のベスト漬物
梅干し:全てが上手く繋がる!美味しい!収斂性が合わさってタンニンが消される!
糠漬けキュウリ:美味しい!糠漬けの酸味と旨味がワインの果実味と同調して美味しい!アフターも旨味が伸びてくる!タンニン全く感じない!
井手のベストポテチ
神ノリ、美味しい!タンニンが甘く感じる!青のりの風味が微かに合う!
しあわせバター:アタックより、アフターのハニーバター感が合う。甘みとカシス系の果実味が余韻で残って美味しい。よく噛み砕いてから飲んで欲しい。
▶︎第8回【白】ルーチェソーレ|ヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イェージ・クラッシコ “イッポカンポ”
Vino Hayashi 井手 大阪営業所長 J.S.A.認定ソムリエ
食育アドバイザー 横浜市で誕生 福岡に6年、関西で33年。O型。42歳。 ワイン業界で約15年、レストランや料飲店での営業のほかにペアリングのコンサルもこなし、飲食とフットサルと笑いを愛するポジティブ関西人! 好きなワインは、弊社取り扱い生産者カステルユゥヴァルのミュラートゥルガウ、コントゥッチのヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノ。