
はじめまして、大阪営業所の井手です。
1年間、お届けワインの美味しい飲み方と取扱説明を皆さまにお伝えしていきます。ぜひ参考にしてください。プロのソムリエも知らない知識や独自の観点からワインを分かりやすく説明します。
第7回でお届け
【赤】レ・チマーテ|モンテファルコ・ロッソ

飲み頃は?
なんと5日目です。長期熟成タイプのワインは時間が必要です。
必ず冷蔵庫の野菜室かセラーでも温度が低い設定で時間をかけてください。
常温で保存すると開く前に酸化してしまいます!ここ凄く大切です。
温度帯は?
閉じて香りが出にくいワインなので少し高めの18度〜23度
野菜室から出して40分〜50分時間を置いた温度。
抜栓後はセラーがない場合は冷蔵庫の野菜室で保管してください。
ジャンルは?(ワインをジャンル分けする事でペアリングや楽しみ方が理解できます)

黒果実系
黒果実系とはカベルネソーヴィニョン、メルロー、シラー、サンジョヴェーゼ、モンテプルチャーノ、プリミティーヴォを代表する果実味が強く、色調が赤黒く濃淡が濃い特徴を持つジャンルです。世界中で造る赤ワインの大部分はこのジャンルのワインです。
※赤ワインは大きく分けて赤系果実のジャンルと黒系果実のジャンル2種類に分かれる事が多いです。
今回は黒果実系の特徴が色濃くでるワインです。凄く勉強になタイプなのでしっかり楽しみましょう。
(ジャンル分けは井手独自の感覚のジャンル分けです)

タイプ
果実味とスパイス感が強くタンニンがドライなタイプ(サンジョヴェーゼ、サグランティーノ、タナ(タンニンの語源になった品種)、シラー等)
特徴
このタイプのワインは強烈なタンニンを感じるワインです。渋い緑茶の様なタンニンです。
舌がタンニンでギュッと引き締まり、口の中の水分を奪います。口の中がカラカラになります。黒果実系の長期熟成ワインに多く感じるタイプです。

1日目 若い黒果実系は乳酸の香りがでる事が多いです。
香、若い黒果実系特有の乳酸の香りとブラックベリーの香り。(乳酸はマロラクティック発酵の香りです)
味、酸味は柔らかく、最初カシスの果実味、から一気にドライなタンニンに変わる。閉じている赤ワインは中間のミネラルや果実味が感じにくい為、タンニンをすぐに感じる。
2日目 まだ乳酸の香りがします。乳酸の香りが抜けると開いた状態です。
香、乳酸の香りがまだ抜けない。
味、カシス感が強く出てきた。
3日目、あと少しです。
香、乳酸の香りが少し残る。黒果実のカシス香が強く出てきた。
味、タンニンとアルコールがまだ強く感じる。アフターにカシスの果実味が長く感じる。味、ミネラルの苦味と塩味ハッキリ、少し温度高めで飲むと美味しい。
4日目、乳酸の香りが抜けた!
香、乳酸の香り無くなりカシスの香りと※エーテルが出てきた。
※高級アルコールの香り、セメダインの香り、高級石鹸の香り(プロがよく使う表現)
味、果実感がまだ出ない。まだですか。凄いポテンシャルのワインです。強いタンニンの後で旨味出てきた。
5日目、流石!長期熟成型ワインのポテンシャル!
香り、カシスやブルーベリーの香りが強く出てきた!ハーブ感も心地良くでた!
味、柔らかい酸味、果実感の後にタンニンが出てきた!バランスが良くなった!アフターの果実味が長く残る!
結論
黒果実系ワインが開く過程を学ぶことが出来る貴重な体験になります。
5日待つとポテンシャルの高いファインワインに変貌します。
若い長期熟成ワインは抜栓から時間がかかります。
香り、乳酸の香りが抜けるのを待ちます。
味、酸味→果実味→ミネラル(複雑な味わい)→タンニン→樽感と順番に並ぶのを待ちます。
ベストペアリング

レバーのうま煮(イオンの惣菜)旨い。レバーの甘み香ばしさが増してワインの果実味と同調する。ネットリ感をドライなタンニンがゆっくり流して美味しい。ベストペアリング!
鳥レバーや牛レバーのタレ焼きでも代用できます。舌に絡みつくネットリ感をドライ系タンニンで流しながら果実味の補填をします。
脂の乗った塩サバ、乳酸の香りが抜けた状態で合わせてください。
ドライ系のタンニンは魚の臭みを消します。カシスのソースをかけた様な不思議なレアペアリング体験になります。

スモークチーズ、スーパーで売っているウインナーみたいな形のチーズです。
カマンベールチーズ(日本産で充分美味しい)、青カビチーズ、
フレッシュチーズ以外は合います。タンニンをチーズの油脂で相殺し、カシス系果実味が補填されて合います。
結論
常識的に考えると和牛や外国産の牛ステーキと相性が良いと考えられますが相性は良くないです。ここ凄く大切なポイントです!(知らないソムリエが多過ぎる)
カシスの果実味は合うのですがドライなタンニンが邪魔になります。是非試してください!!
若いドライ系のタンニンはお肉も含めペアリングする事が難しいワインです。
本来は肉と内臓等を一緒に煮込んだ料理(ラグー)と合わせる事が多いワインです。
例えば牛筋の煮込み、鳩や鴨の内臓と一緒に煮込んだ料理や猪の肉と内臓を煮込んだ料理等です。
井手のベスト漬物
糠漬けキュウリ、美味しい!糠漬けの酸味と旨味がワインの果実味と同調して美味しい!アフターも旨味が伸びてくる!タンニン全く感じない!

井手のベストポテチ
堅あげポテト胡椒、胡椒のスパイス感が合う。美味しい。
しあわせバター、アタックより、アフターのハニーバター感が合う。甘みとカシス系の果実味が余韻で残って美味しい。よく噛み砕いてから飲んで欲しい。

Vino Hayashi 井手 大阪営業所長 J.S.A.認定ソムリエ
食育アドバイザー 横浜市で誕生 福岡に6年、関西で33年。 O型。42歳。 ワイン業界で約15年、レストランや料飲店での営業のほかにペアリングのコンサルもこなし、飲食とフットサルと笑いを愛するポジティブ関西人! 好きなワインは、弊社取り扱い生産者カステルユゥヴァルのミュラートゥルガウ、コントゥッチのヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノ。