
こんにちは、大阪営業所の井手です。
1年間、お届けワインの美味しい飲み方と取扱説明を皆さまにお伝えしていきます。ぜひ参考にしてください。プロのソムリエも知らない知識や独自の観点からワインを分かりやすく説明します。
第2回でお届け
トスカーナ州
【赤】ピエトロ・ベコンチーニ|キャンティ リゼルヴァ “ピエトロ・ベコンチーニ”

飲み頃は?
1日目と3日目です!
1日目は熟成した美味しさ、3日目はピークを超えて出る香りと味わい。初めての感覚でした。
※抜栓後は冷蔵庫か野菜室で保管してください。時間経過と共に開く前に酸化します。

熟成の美味しさを超えて、2日目はコンディションが落ち、3日目に再度違う美味しさを感じました。
熟成したワインの2度目のピークの話は噂に聞いた事がありましたが体験したのは初めてです!
温度帯は?
15度〜20度
ボトルを握って少しヒヤッとする温度
抜栓後、 必ず冷蔵庫か野菜室で保管してください。セラー(16℃前後)だと温度が高過ぎます。
2日目以降は残量に対して野菜室から30分〜60分前に出し温度調整してください。
ジャンルは?(ワインをジャンル分けする事でペアリングや楽しみ方が理解できます)

赤果実系
赤果実系とはピノ・ノワールやネッビオーロ(バローロ)を代表する酸味が強く、色調が赤く濃淡がやや薄い特徴を持つジャンルです。
※赤ワインは大きく分けて赤果実系のジャンル(ピノ・ノワール等)と黒果実系のジャンル(メルロー等)2種類に分かれる事が多いです。 今回は赤系果実の特徴が色濃くでる品種です。
凄く勉強になる品種なのでしっかり楽しみましょう。(ジャンル分けは井手独自の感覚のジャンル分けです)

タイプ
赤果実系で鉄分とタンニンが強いタイプ(代表品種はネッビオーロ)
サンジョヴェーゼは偉大なブドウです。果実味タップリの黒果実系になるタイプとエレガント系の赤果実系になるタイプの2種類が存在する事を知って下さい!
プロのソムリエでも、ファインワインに成る程、熟成したサンジョヴェーゼと熟成したネッビオーロの見分けがつきません。私も何度もブラインドテイスティングで間違えました。個人的な見解ですが、熟成すると酸味と鉄分と旨味の味わいが似てくると感じます。特に鉄分と旨味は同じに感じます。
特徴
生産量の多いサンジョヴェーゼは造り手の考えや地域の食文化で味わいの表現が変わる代表的な品種です。
トスカーナ州で造られるDOCGのサンジョヴェーゼも様々です。ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは旨味が強い傾向が強く、名前のままですが高貴なワインと名乗るヴィーノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノは酸味が強くエレガント系に仕上げる傾向が強いです。モレッリーノ・ディ・スカンサーノは酸味が穏やかで果実味が豊かな仕上がりになり、キャンティは赤系黒系入り混じる無法地帯です。
個人的に言える事は、サンジョヴェーゼは『雑な酸味と雑なタンニンの間に強い旨味を感じる品種』です。
この雑な酸味と雑なタンニンを滑らかにする事で如何に美味しいワインに仕上げるか!が生産者の腕の見せどころです。
ネッビオーロも同じですが、昔は年月と共に熟成する事でしか滑らかに出来なかった事が醸造技術の発達や造り手の努力で若くても美味しいワインが増えた事は嬉しいばかりです。
1日目 開けたてから熟成したワインだ!熟成6年目で...早過ぎる。
香り:森の土の様な熟成香、錆びた鉄の香り、濡れた木の香り。
味:強い酸味と消えかけの果実味と鉄分、ザラついたタンニン、アフターに旨味がしっかり残る。旨い!
2日目 ピーク過ぎたな。
香り:錆びた鉄分の香りが広がる。熟成香も強く出てるけどネガティブじゃない。
味:酸味強いな、鉄分強く出てる。ピークを過ぎた下降傾向にある。
3日目、あれ!香りが再度開いた!
香り:鉄分の香りに清涼感が出てきた。鉄分が溶け込んだ癖になる上質なバローロの様な香りが出てきた!
味:心地よい適度なタンニンのザラつき、果実味はないけど素晴らしい鉄分と熟成感を楽しめる!
4日目、悪くないけど3日目より香りが落ちた。
香り:酸化の香りが混じった、ピークすぎたな。
味:酸化した酸味、過熟した果実味、酸化熟成したシェリーの様なアフター。
結論 ジェットコースターみたいな曲線を描くワイン。
2度ピークが来るワインは初めての体験でした。ブルゴーニュグラス、ボルドーグラス両方使って味と香りを楽しんでください。グラスの好みが分かれる面白い体験になります。
熟成したワインを楽しむ貴重な経験になります!
※保存だけは注意してください。セラー(16℃前後)ではなくて温度の低い冷蔵庫で冷やしてください。
ベストペアリング

・鰹のタタキ、食べる直前にバーナーで炙ってください(これ凄く大事です)。鉄分の同調!旨味の同調!醤油つけると更に美味しい!焼き目の香ばしさは色々なワインと相性抜群です!

・鴨の胸肉、合うね!鉄分が同調、鴨の旨味がワインの旨味と合う!が同調、味わいが広がる、
・合挽ハンバーグ、家庭で作るハンバーグです。玉ねぎの甘みが広がり肉の旨味とワインの鉄分が混ざって美味い!
・豚肩ロース、好きな合わせ方!豚の旨味とワインの旨味が同調!
・鳥レバー甘露煮、旨い!レバーのネットリ感と鉄分が同調!アフターまで心地よい!
・焼いたブラウンマッシュルーム、最初ワインが勝つけどアフター心地よい出汁感とマッシュルームの香ばしさが合う。
・焼き椎茸塩、旨い!ボリューム感も丁度、熟成感と香ばしさと旨味が折り重なる!

結論 熟成した赤ワインは合わせる食材が狭くなります。果実感が薄くなり、旨味と熟成感が厚くなるからです。腐葉土の様な熟成感と同じ香りのキノコとの相性は同調を感じる素晴らしい組み合わせです。中々良い熟成ワインと出会う機会が少ないので熟成感を楽しんでください。
井手のベスト漬物 シソニンニク、旨い!酸味が打ち消しあってニンニクの香りとワインのシソっぽい果実味と旨味が合う!
・シソ梅、甘い!旨い!酸味とタンニンが打ち消しあってお互いの果実味を強く感じる!梅干しなら何でも面白いペアリングになります。

漬物ではないですが昆布の佃煮はお勧めです!特にフジッコのふじっ子煮シリーズは凄く合います!おかか昆布、しそ昆布は絶品です!

井手のベストポテチ 海苔しお系 海苔の旨味が同調する!美味しい!

Vino Hayashi 井手 大阪営業所長 J.S.A.認定ソムリエ
食育アドバイザー 横浜市で誕生 福岡に6年、関西で33年。 O型。42歳。 ワイン業界で約15年、レストランや料飲店での営業のほかにペアリングのコンサルもこなし、飲食とフットサルと笑いを愛するポジティブ関西人! 好きなワインは、弊社取り扱い生産者カステルユゥヴァルのミュラートゥルガウ、コントゥッチのヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノ。