こんにちは、大阪営業所の井手です。
1年間、お届けワインの美味しい飲み方と取扱説明を皆さまにお伝えしていきます。ぜひ参考にしてください。プロのソムリエも知らない知識や独自の観点からワインを分かりやすく説明します。
第5回でお届け
【赤】セコンド・マルコ|ヴァルポリチェッラ クラッシコ 2019
飲み頃は?
開けたては硬いですが、2日目から3日目の開いていく感じが堪らなく楽しいワインです!
2日以内に絶対飲み切らないでください!
4日目に地味深い美味しいワインに変貌します!
ファインワインと付き合う秘訣は焦れずにゆっくり香りが開くのを待つことです。
温度帯は?
16度〜18度
ボトルを握って少しヒヤッとする温度
抜栓後、セラーがない場合は冷蔵庫の野菜室で保管してください。
ジャンルは?(ワインをジャンル分けする事でペアリングや楽しみ方が理解できます)
赤果実系
赤果実系とはピノ・ノワールやネッビオーロ(バローロ)を代表する酸味が強く、色調が赤く濃淡がやや薄い特徴を持つジャンルです。
※赤ワインは大きく分けて赤果実系のジャンル(ピノ・ノワール等)と黒果実系のジャンル(メルロー等)2種類に分かれる事が多いです。今回は赤系果実の特徴が色濃くでる品種です。
凄く勉強になる品種なのでしっかり楽しみましょう。(ジャンル分けは井手独自の感覚のジャンル分けです)
タイプ
赤果実系で酸味、果実味と旨味を感じるタイプ(代表品種はピノ・ノワール)
若いビンテージは香りと赤ベリー系の果実味が強く、熟成と共に旨味が出てきます。
特徴
このタイプのワインはビンテージが若いと青いエグ味と咽せる様なベリー系の香りが気になります。良いポテンシャルのワイン程、エグ味や香りが強く出る傾向があります。しかし香りが開いてくる(加工品→天然の香り)とアロマやハーブ感が溢れ出てきます。味わいも加工品のさくらんぼやジャム感が抜けて鉄分や旨味が感じられるワインに変貌します。抜栓後しっかり時間を使ってワインが開くのをお待ちください。
アマローネとヴァルポリチェッラ
日本でも人気の高い陰干濃厚ワインのアマローネの正式名称は『アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ』です。端折って簡単に説明するとヴァルポリチェッラのブドウを陰干するとアマローネになります。
イタリアのDOCGの中で3品種以上をアッサンブラージュ(品種をブレンド)するワインはレアです!基本は単一品種が多いです。(稀にキャンティが3種類以上の品種を使いますが基本はサンジョヴェーゼ70%以上)ブレンドワインの良い所は『味わいが安定する事』と、単一品種では造れない『複雑味が生まれる事』です。
実は失敗作のアマローネと追従のヴァルポリチェッラ
貴族御用達の高級甘口ワインのレチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラの失敗作だったアマローネ。甘くないのでアマローネ(意味はとても苦い)と名付けられました。しかし世界的に辛口ワインが主流となり、甘すぎない濃厚アマローネは世界的な人気ワインになりました。それに伴い下のカテゴリーのヴァルポリチェッラは果実味を前面に出したワインが主流になります。しかし今回お届けのワインはドライで造られています。
何故か?生産者のセコンド・マルコはヴァルポリチェッラはピノ・ノワールの様なエレガントなワインが造れると信じ、エレガントを前面に出した新しいヴァルポリチェッラを造りました。ラベルに描かれる華麗に舞うバレリーナにその思いが込められています。アッサンブラージュで造る赤系果実のエレガントワインは世界的にもレアです。3品種をブレンドする事で複雑味を感じるワインに仕上がっています。
テイスティング
1日目 硬いな!
香り:赤ベリー系の香り、メンソール、鉄分。
味:酸っぱいチェリー、鉄分、アフターにポテンシャルの高いミネラル感とジャムっぽい果実味がじわじわでてくる。
2日目 開いてきた!ヴァルポリチェッラ特有のイチゴジャム感が出てきた!
香り:イチゴジャム感出てきた!アルコール感、メントール感。
味:ベリー系のジャム感出てきた!アフターに旨味が出てきて美味しい!
3日目、凄い!赤りんご皮の清涼感と薔薇の香りが出てきた!
香り:アルコール香は抜けた。リンゴの皮とイチゴジャムとバラを足した複雑な香り!
味:高級なイチゴジャム、アフターの田舎っぽさが好き!
4日目、このワインはエレガントです!
香り:酸味が心地良い!味わいが酸味、果実味、タンニンと並んだ!開いた!
味:果実味強くでた!美味しい!
結論 2日目以降から徐々に良くなり、4日目に骨格シッカリのエレガントワインになります!
本来のヴァルポリチェッラのイメージは、赤系果実の中でも土っぽい田舎っぽさが抜けないワインが多いですが、このワインは実にエレガントでした!
田舎臭さが抜けない普通のヴァルポリチェッラも大好きです!これはプロのソムリエも賛同頂けると思います。噛みしめる様な旨味と赤系ベリーの果実味がクセになります。皆さんも色々なヴァルポリチェッラを飲み比べてください。ヴァルポリチェッラを美味しく飲むコツは3日目くらいを狙って飲んでください。比べると今回のヴァルポリチェッラが『如何にエレガントで優れている事』が理解できると思います。
ベストペアリング
・鳥レバーの旨煮(惣菜)、合うね!赤ベリージャム付けたみたいに果実味が補填されて美味しい!ベストペアリング!
※牛レバーや豚レバーでも美味しいペアリングになります!
・鴨胸肉塩焼き、鉄分を合わせた赤ベリー系の代表的な合わせ方!
※赤系果実味は旨味と鉄分の同調狙うと良いペアリングになります。香りが開いた3日目以降で合わせて欲しい!
・焼きマッシュルーム、旨い、アフター美味しい!出汁感と合う!3日目以降で合わせて欲しい!
・水茄子、美味しい!瑞々しいエグ味が旨味に変わる!ベストペアリング!
・インゲン胡麻和え、合うね!青味と合うね!胡麻の香ばしさが良い!
・茗荷、合う!めちゃくちゃ美味しい!瑞瑞しい!
・蒸したゴーヤ、合うね!エグ味が同調して旨味に変わる!だし醤油とマヨネーズで和えました。
・甘唐辛子やシシトウ、好きな組み合わせ、青味と青味がぶつかる!鰹節かければさらに合うと思う!
※長ネギ蒸し焼き、茗荷、胡瓜や水茄子(塩)、ゴーヤ、紫蘇などの青いエグ味も合います。エグ味をエグ味で合わすと不思議と美味しさに変わります。(ソムリエでも知らない方が多いです)
・プチトマト、合うね!全て同調する!美味しい!トマトとワインは万能です!
・北海道カマンベール、イチゴジャム付けた感じ!合うね!
重要!3日目以降の開いた状態で合わせた方が、ワインも食材も楽しむ事ができます。
結論 若い赤果実系は合わせる食材が狭いです。しかし!強い酸味とエグ味があり、難しいペアリングと思われがちですが、逆らわずに似た味わいで合わせる事が大切です。エグ味を上手く使えるとプロのソムリエでも知らない2ランク上のペアリングが完成します。味わいに逆らわず同調させる事が大切です!
知って欲しい!
ちなみに赤系果実の殆どが牛肉(赤身、脂身)と相性が悪いです。ソムリエでも知らない方が多いので合わない感覚を是非試して欲しいペアリングです。鹿肉、馬肉も合いません!
井手のベスト漬物 ・奈良漬け、アフター合うわ!さくらんぼの果実味が合う!個人的には苦手ですが食べれました!
・水茄子浅漬け、美味しい!エグ味がアフターにかけて合う!
井手のベストポテチ ・スッパムーチョ梅、爽やかな酸味が同調!美味しい!赤系は難しいから合って良かった!
▶︎第5回【白】ボルゴ・サン・ダニエーレ|ヴェネツィア・ジューリア ビアンコ “ヤシック”
Vino Hayashi 井手 大阪営業所長 J.S.A.認定ソムリエ
食育アドバイザー 横浜市で誕生 福岡に6年、関西で33年。O型。42歳。 ワイン業界で約15年、レストランや料飲店での営業のほかにペアリングのコンサルもこなし、飲食とフットサルと笑いを愛するポジティブ関西人! 好きなワインは、弊社取り扱い生産者カステルユゥヴァルのミュラートゥルガウ、コントゥッチのヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノ。