
こんにちは、塾長の井手です。
毎月お届けするワインの取扱説明を皆さまにお伝えしていきます。
美味しい飲み方やペアリングのポイントをぜひ参考にしてください。プロのソムリエも知らない知識や理論、独自の観点からワインを分かりやすく説明します。
11月でお届けワイン
ピエモンテ州
クリヴェッリ|ルケ・ディ・カスタニョーレ・モンフェッラート 2023

飲み頃は?
4日目以降です!
開けたては若くて硬いです!
フローラル系のワインは特に!硬い状態はエグ味が出て香りも篭って飲めたものではありません!
3日目以降に薔薇やスミレの香りが溢れでてきます!
味わいは4日目から香りと味わいが連動し口一杯に広がります!
※抜栓後は1番低い温度のワインセラーか冷蔵庫の野菜室で保管してください。常温だと時間経過と共に開く前に酸化します。

本来なら3年以上は熟成させたいところですが入荷したワインが2023年でした。
『飲み頃にする為の抜栓と保存方法』をお伝えします!(※大した事はしません)
1、抜栓してグラス1杯分注いで味を確認してください。(50ml〜100ml)
2、ボトルにコルクで栓をして5秒程振ってください。ワイン全体に酸素を巡らせてください!
3、コルクを抜き、10秒後くらいに泡が治ったら再びコルクで栓をする。
要するに瓶を振って強制的にワインに酸素を送り込む!
これで開きやすい状態になりますが、30分程落ち着かせた方がバランスが良くなります。
しかし!それでも硬いワインは1日〜3日保冷(冷蔵)しながら開くのを待ちます。
※保冷をしないと開く前に酸化します。
抜栓前の瓶内のワインは酸欠状態です!
酸素を取り込む事でゆっくり開いていきます。
コレはデキャンタージュを瓶内で完結する方法です。
※注意点:他のワインで実行する時は必ず澱が無い事を確認してください!

温度帯は?
16度〜18度
ボトルを握って少しヒヤッとする温度
抜栓後、 セラーがない場合は冷蔵庫の野菜室で保管してください。
2日目以降は残量に対して野菜室から30分〜60分前に出し温度調整してください。

赤果実系
赤果実系とはピノ・ノワールやネッビオーロ(バローロ)を代表する酸味が強く、色調が赤く濃淡がやや薄い特徴を持つジャンルです。
※赤ワインは大きく分けて赤果実系のジャンル(ピノ・ノワール等)と黒果実系のジャンル(メルロー等)2種類に分かれる事が多いです。 今回は赤系果実で香りに特徴がでる品種です。
凄く珍しくて、勉強になる品種なのでしっかり楽しみましょう。(ジャンル分けは井手独自の感覚のジャンル分けです)

タイプ
赤果実系で香りとスパイス感が強いタイプ(代表品種はルケ、ラクリマ、ガメイ等)
実はこのタイプのワインは極めて珍しい激レアワインです!

特徴
ソムリエにも愛されるフローラル系の赤ワインは『芳香剤のような強い香り』が特徴です。
硬い状態だと香りも閉じた状態ですが、開くと香りがグラスから溢れ出てきます。少し離れた場所でも分かる程、強い香りを放つワインもあります。
世界的に見ても薔薇の香りに特化した品種は非常に珍しく『ルケとラクリマ』以外に出会った事がありません!
今回の『クリヴェッリ』は素晴らしい生産者です!
『ルケは1度絶滅しかけた神秘的品種』です
ルケを知り尽くした、ルケ協会の元会長が造る『究極の薔薇ワイン』は、香りの出かたが違います。咽せ返る程の香りを放ち、グラスの中を『薔薇やスミレ、ゼラニウムの花束』で一杯にします。
時間はかかりますが、開いた時の香りに驚きます!
これは香水?芳香剤?いや、フローラル系の赤ワインです。
『薔薇の香りが溢れるワイン』を大きなブルゴーニュグラスに注いで、ゆっくり楽しむのはソムリエをやっていてよかったと思う瞬間の一つです。

時間と味わいの変化。
※ブルゴーニュグラスやピノ・ノワール、ネッビオーロのグラスで味わってください!
上記の『飲み頃にする為の抜栓と保存方法』 の手順でボトル内に酸素を取り込んでください。
1日目 酸素を取り込んでから30分後に少し香りが出てきます。
香り:インクのような香りが強く硬い、ラベンダーとバラの香水の香りが微かに出てる。
味:アルコール、タンニンが先にくる、鉄分、微かにカシス、若いエグ味。
※インクのような香り=硬い状態です。
※タンニンが果実味より前に感じる=硬い状態です。
2日目 香りにエーテル(セメダインような香り)と赤りんごの皮の香りが少しでてきた。
香り:軽いエーテル、ラベンダーとバラ、赤リンゴ、赤紫蘇。
味:タンニンドライ、鉄分強いな、梅ジュース、赤リンゴ、エグ味。
3日目、溢れる香り!タンニンもだんだん果実味の後になってきた。
香り:やっと香りが開きだした!
味:タンニンが後に感じるようになったけどまだ硬い。
4日目、開いた!味も開いた!エグ味なし!
香り:香りが広がる!薔薇の香りが広がる!
味:赤ベリー、鉄分、ドライなリンゴやカシスの果実味。
5日目、薔薇とラベンダーの香水の香りが溢れる!味も美味しい!
香り:溢れ出てくる!
味:果実味でてきた!カシスと赤リンゴの皮、美味しい!
6日目、良い状態が続く!

結論、4日目から5日目にかけて本領発揮するワインです!
絶対に3日以内に飲み切らないでください。
時間をかけた先にしか溢れてこない薔薇の香りを体験して欲しいです!
ベストペアリング ※必ず4日目以降で合わせてください!!

・青海苔、薔薇の香りと青海苔の香りが同調して口に広がる!心地よい!ベストペアリング!
旬のイクラに旬の青海苔と旬の黄柚のゼスト(皮)をかけて香り一杯のお皿にしてください。香りと香りが広がり続ける高級店のペアリングの完成です!先にイクラに香り高い醤油をかけると更に香りが広がります!

・マグロの赤身を紫蘇と塩で、鉄分が同調する!薔薇の香りとマグロが合う!アフターまでハーブ感が広がる!ベストペアリング!必ず鉄分の強い赤身で合わせてください。勿論醤油も凄まじく合いますが食材とのペアリングなので塩で試してください。

・鴨の胸肉、これは旨い!鴨の鉄分がワインと同調!旨味も同調、味わいが広がる、ベストペアリングです!
・ラムもも肉、ラム肉の干し草の香りが広がる好きなペアリング!香りが同調しまくり!冷めてもラム肉が美味しい!※ティムールペッパーとの相性も抜群!
※ティムールペッパー、ネット買えます!柑橘と胡椒と山椒を足した香り。別名ネパールペッパー。
・豚バラ紫蘇巻き、好きな合わせ方、豚の香りと紫蘇の香りが昇華され余韻も心地よい!黒胡椒は最後に振って香りをさらに上げてください!
・鰹のタタキとバジルソース、食べる直前にバーナーで炙ってください(これ凄く大事です)。鉄分の同調!香りの同調!醤油と紫蘇でも美味しいですが緑のハーブのソースが心地よい!

・鳥レバー旨煮(惣菜)&柑橘の皮、鉄分と香りが広がる!ネットリ感がドライなタンニンと合う!レバーは柚の皮との相性も良いので是非試してください!
・焼き椎茸塩、旨い!椎茸の香りとワインの旨味香りが合う、森の香りと薔薇の香りのベストペアリング!
・焦がしピーマン&鰹節醤油、青味が同調して美味しい!鰹節かけて醤油で完璧になります。
・ルッコラ、旨い!ワインの香りが青草感を包み込んで香りが共演する!
・ディル、香り広がる!ハーブ感とシソの果実感と薔薇の香りが同調して美味しい!アフターもハーブ感で心地よい!

西洋料理と香味野菜の歴史は長く切り離せない関係です。香りを楽しむワインと香味野菜の相性が素晴らしい事を知って欲しいです!香りの強いワインと『バジル』や『パセリ』、『紫蘇』だけで合わせてください。感動するペアリングになります。この組み合わせを理解する事でワインに合わせる料理が手軽に作れるようになります!
ディル、マジョラム、タイム、パセリ、ミント、ディル、ローズマリー等!
井手のベスト漬物 柚大根、美味しい!香り広がる!こんなん合うに決まってる!
・しば漬け、美味しい!酸味同調、香り同調、好きなペアリング!

漬物ではないですが昆布の佃煮はお勧めです!特にふじっ子煮シリーズのしそ昆布は絶品です!

井手のベストポテチ
・スッパムーチョ(ウメ味)、酸味とウメのハーブ感が合う!アフターも長い同調!

▶︎ 2025年11月号 ヴィジン/バルバレスコ ノンノーランド取説
Vino Hayashi 井手 大阪営業所長 J.S.A.認定ソムリエ
食育アドバイザー 横浜市で誕生 福岡に6年、関西で33年。 O型。42歳。 ワイン業界で約15年、レストランや料飲店での営業のほかにペアリングのコンサルもこなし、飲食とフットサルと笑いを愛するポジティブ関西人! 好きなワインは、弊社取り扱い生産者カステルユゥヴァルのミュラートゥルガウ、コントゥッチのヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノ。

Vino Hayashi 井手
大阪営業所長
J.S.A.認定ソムリエ
