Vino Hayashiの川嶋でございます。
先日、2週間のイタリア出張から帰ってまいりました!前回の訪問は2019年8月なので、実に3年ぶりの出張となりました。
訪問ワイナリー数はなんと合計21!
シチリアからはじまり、ヴァッレ・ダオスタまで北上しながら巡りました。
出張終了後、私たちが得た印象としては3つです。
1、近年の気候変動により、「厳しい土地」から素晴らしいワインが生み出されるようになった
幸か不幸か今まで日の目を見なかった気候が厳しい土地(主に寒冷地)で良いブドウが採れるように。
2、宿泊施設や最新の醸造設備への投資を行っている生産者多し
コロナ禍の休業期間にアグリツーリズモのための宿泊施設や醸造設備への投資を行い、昨今回復した国内需要へ応えた柔軟な生産者も。
3、20代・30代への世代交代が進んでいる
例えば、2018年に高校生だった息子さんも成人して立派な跡継ぎに。
また、山間部では雇用対策で若年層を積極採用。20代のエノロゴ補佐もおり、フレッシュさの中にも実力主義を垣間見た。
といったところです。
知って損なし!ハズさないワイナリーを見つけるコツ。
昔気質の生産者ももちろん好きですが、ズバリ私の見解を述べてしまうと先述3つの条件を備えたワイナリーは単純に「ワインが間違いなく美味しい」です。
なぜなら
1、そもそもブドウが良い(良くなってきている)
2、品質を向上させる資本とセンスがある
3、若く、世界市場をつかむ柔軟な発想がある
からです。
ですので、前置きが長くなりましたが、今回はそんな3つの条件を備えたヴァッレ・ダオスタ州のワイナリー「Rosset Terroir(ロッセ・テロワール)」の「ハズさないワイン」をご紹介いたします。
こちらのロッセ・テロワールのワイン、実は日本で事前試飲しており、あまりのクオリティの高さに驚き今回の出張で個人的に最も訪問を楽しみにしていたので、こうしてレポートをお届けできるのが最高に嬉しいです!
ハズさないワイン①
ヴァッレ・ダオスタ、標高1000mの急斜面畑から生み出される希少土着品種プティ・アルヴィーヌ
ヴァッレ・ダオスタ州ヴィルヌーヴ地区、ヨーロッパ最高峰の山モンテビアンコを北西に望む山岳地帯に「Rosset Terroir(ロッセ・テロワール)」の特別な畑があります。
標高900〜1,000m。
「これ、試飲の後だったら確実に行き倒れてたな」レベルの急斜面を肩で息をしながら5分ほど登り進むと、わずか1ha、猫の額ほどの小さな畑があります。
当然、生産量も極少。
土着品種プティ・アルヴィーヌ。スイスやヴァッレ・ダオスタなど寒冷地での栽培に適した白ブドウです。
標高が高く冬が厳寒のため、果皮が分厚く実が小さいです。
それゆえ、出来上がったワインにはしっかりとした骨格といきいきした酸がもたらされます。
樹齢は30年。
もともとは個人所有であった畑をロッセ・テロワールが買い取りました。
良い畑が買えただけじゃないかという声も聞こえてきそうですが、彼らがすごいのはここからです。
なんと、2017年のワイナリー設立からわずか3年で、トップキュヴェの「ソプラクウォッタ・ノヴェチェント(=900以上、すなわち標高900m以上の意)」が「Vini d'Italia 2021 del Gambero Rosso」の白ワイン・オブ・ザ・イヤーに輝いたのです!
いきなり賞獲得!ヴァッレ・ダオスタのハズさないワインはこちら
\厚みと酸のバランス!鍛え抜かれたプティ・アルヴィーヌ/
ロッセ・テロワール|ヴィーノ ソプラクォッタ ノヴェチェント 2020
8,690 円(税込)
とにかくロッセ・テロワールのワイン試飲中ずっと唸っていた社長ハヤシ。
「どのワインもレベルが高い。特にこのソプラクォッタ ノヴェチェントは、ワインの厚みと酸のバランスがずば抜けている。
プティ・アルヴィーヌって何?と思っている方にはぜひおすすめしたいです」とのこと。
(「Italiagrismo」のお客様へは8月号でお届けいたしました!)
キレイながらもボリュームがあるので、白身のお肉に合わせてぜひ!
「なぜ設立からそんなに早く快挙を遂げることができたんですか?」
その理由を弱冠25才でエノロゴの右腕となったキレ者女性スタッフ・カロルさんに聞いてみました。
「プティ・アルヴィーヌはヴァッレ・ダオスタでは以前、甘口ワインや地元消費用の安価なワインとして知られていました。
それをシャルドネやリースリングのように長期熟成可能なワインにまで昇華させたというのが、認められたのだと思います」。
スパっとした簡潔な答え。
カロルさんは、こんな調子で畑から醸造所、レストランまで抜かりなくアテンドしてくれました。
ちなみに彼女の説明によると、ソプラクォッタ ノヴェチェント は、ステンレスタンク、バリック、2種類のアンフォラを使い発酵・醸造を行うことにより、プティ・アルヴィーヌのポテンシャルを最大限に引き出しているそう。
そんなカロルさん、初めて会った時は花柄ワンピースにスリッポン姿で「こんなカッコで山に!?」と心配になりましたが、幼少期から界隈に住んでいる彼女にとっては慣れっこのようです。
出張チームが息を切らした斜面を、ワンピース姿でスタスタと登っていく姿が印象的でした。
そんな彼女ら山っ子達が生み出すきれいな山ワイン、どれを飲んでもびっくりするほど美味しいです。
ぜひそのクオリティに驚いてください!
ハズさないワイン②
ロッセ・テロワールはこんなワインもおすすめです
白だけじゃない!赤も希少!土着品種コルナラン
ロッセ・テロワール|ヴァッレ・ダオスタ コルナラン 2019
4,620 円(税込)
プティ・アルヴィーヌと同様、スイスとヴァッレ・ダオスタの土着品種。果皮も薄くデリケートなブドウですが、タンニンは豊富。香り高さと長い余韻が特徴です。ただし強すぎる料理だと個性を消してしまいます。現地ではワイナリーの皆さんのおすすめに従い、みんなで一緒にオニオンスープと合わせました!
山ワインことヴァッレ・ダオスタの新星『Rosset Terroir(ロッセ・テロワール)』のワイン一覧はこちら
川嶋 Vino Hayashiのアラフォー女子。千葉県九十九里出身、陽気な海育ち。 某大手ワイン輸入商社、銀座店で7年ソムリエとして勤めている間、 「キャシー川嶋」の名で出した店舗メルマガが大人気となり、 調子に乗ってソムリエのキャリアをあっさり捨てライターへ転身。 好きなワインはピノ・ノワールに熟成ボルドー。 イタリアワインなら飲み頃のヴィーノ・ノービレ! 好きな言葉は「やってればなんとかなる」。