こんにちは、大阪営業所の井手です。
1年間、お届けワインの美味しい飲み方と取扱説明を皆さまにお伝えしていきます。ぜひ参考にしてください。プロのソムリエも知らない知識や独自の観点からワインを分かりやすく説明します。
第6回でお届け
ロンバルディア州
【スパークリングワイン】ムラトーリ|フランチャコルタ ブリュット NV
[重要]スパークリングワインをシャンパンと呼んではいけない理由
何でもかんでも『スパークリングワイン』を『シャンパン』と呼ぶ人が多くいますが、その時点でワイン経験が薄いなと判断されます。
では何と呼ぶか?
ワイン経験が長くなると、『スパークリングワイン』と言う名前が長すぎて『泡(あわ)』と呼ぶようになります。
注文も「何か開いている泡ありますか?」と尋ねます。「カヴァとシャンパンが開いています」とか返答がきます。
かなりスマートな注文の言い方でコイツ経験あるな!と判断されます。
その店ではロスりそう(味が終わりそう)なグラスワインや泡の弱まったスパークリングワインは出してきません!ワインバーやレストランあるあるです。
飲み頃は?開けたてです!
泡は開けたてです!
しかし、泡が弱まった時に美味しいスパークリングワインが本物です![ここも重要]
プロは試飲会で味を見極める時はグラスをスワリングして泡を軽く抜きます。
シャンパンを筆頭に『泡の強さ』と『ネームバリュー』で味わいを誤魔化しているスパークリングワインが多くあります。
一次発酵のワイン造りの工程で『良いブドウを使い、良いワインを造り出せるか!』が味わいを大きく左右します。
突き詰めるとワインはブドウの力が最も大切な要素です。(ドサージュ(補糖)を行う泡に対しての良いブドウとは酸味とミネラルが強いブドウです)
温度帯は?
8度〜10度です。(冷蔵庫の野菜室の温度)
私は5度くらいに冷やしてグラスで温度を上げながら楽しむのが好きです。
冷蔵室の温度くらいが良いです。
抜栓後、セラーがない場合は冷蔵庫で保管してください。
良い泡を飲む時のグラスは大きめで、徐々に温めながら香りと味わいの変化を楽しみましょう!
この『泡』は『RM』の『ブラン・ド・ブラン』の『ブリュット』です!を説明します。
・『RM』とは?
レコルタン・マニピュラン(Recoltant Manipulant)の略です。
簡単に言うと自社畑でブドウを栽培、収穫、醸造、瓶詰めまで行う小規模生産者のことです。
畑と醸造家の個性を楽しめる『RM』はかなり高額でレアです。
・対して大多数を占める『NM』は
ネゴシアン・マニピュラン(Negociant Manipulant)の略で、
ブドウ栽培農家からブドウやワインを買い付け、自社で醸造、調合、熟成させて製造する生産者のことです。
「モエ・エ・シャンドン」「ヴーヴ・クリコ」など、大手メゾン(会社)のほとんどがNMです。
・たまに【CM】も見かけます。
コーペラティヴ・マニピュラン(Coopertative Manipulant)の略で、
生産者共同組合(地域の農協みたいな感じ)も出会いますが、NMが圧倒的に多いです!
シャンパンで使う用語ですが、ブドウ栽培から瓶詰めまで行う小規模な泡専門の生産者を『RM』と呼んでいます。
・『ブラン・ド・ブラン』とは?
ブラン・ド・ブラン(Blanc de Blancs)は白ブドウのみを用いて作られた白スパークリングワインを呼びます。
Blanc=ブラン=白 白ブドウで造った白スパークリングワイン。(大概はシャルドネです)
特徴はフレッシュで繊細な酸味!
・対して『ブラン・ド・ノワール』(Blanc de Noir)とは
Noir=ノワール=黒 黒ブドウで造った白スパークリングワイン。
特徴は果実味豊かでドライ!(大概はピノ・ノワールかピノ・ムニエの混醸か単一品種)
・今回お届けの泡はシャルドネ100%で造るので『ブラン・ド・ブラン』です!
・『ブリュット』とは?
ブリュット(Brut)は、スパークリングワインの甘辛度の表示段階の一つで、
「辛口」という意味
ドサージュ(補糖)される糖の量が15g/l以下なので辛口に仕上がります。
・ドサージュ(補糖)を何故するか?
瓶内で二次発酵をする工程で必要な『瓶内に酵母と酵母のエサとなる砂糖を加えて二次発酵させます』
瓶内で二次発酵した後に残る、瓶内の酵母を抜き取る作業(デコルジュマン)、
『澱引き(Degorgement デゴルジュマン)』で澱と共に排出し、少し減ったワインに糖分の入ったリキュールを加えるのがドサージュです。
・流行りの『ノン・ドサ』とは?
フランス語の『ノン・ドサージュ(Non dosage)』の略です。
たまに『パ・ドゼ(Pas Dose)』と呼ぶ人もいます。
イタリア語だと『ドザッジョ・ゼロ(Dosaggio Zero)』
↑全て補糖ゼロと言う意味です。
澱引き後に糖分の入ったリキュールを加えないので超辛口に仕上がります。
※勘違いが多いポイント!
①二次発酵を行う時の糖分は添加します。(そもそも糖分が無ければ二次発酵出来ない!)
②二次発酵後の糖分を添加しません。
ドサージュ添加無し?じゃ〜量が減ったままかい!と思うかもしれませんが同じワインを加えています。
※要するにノン・ドサージュ以外は後からリキュールを添加して味を調整するので『ブドウ以外の味わいが入ります』
シャンパンの味=ドサージュしたリキュールの味だ!と誇張して言う人もいますが、結果的に美味しいかどうかが大切だと思います。
長くなりましたが、
この『泡』は『RM』の『ブラン・ド・ブラン』の『ブリュット』です!を説明できたでしょうか?
味と香り
おっ!エレガントなシャンパンの香りと味わい!
香り:完熟リンゴ、蜂蜜や酵母の香り。
味:適度なレモン系の酸味、レモンピール、完熟リンゴ、アフター長い酸味。
・泡の流行
行き過ぎたキレキレ(強酸味)ションパンが流行しています。
酸味が強過ぎて、舌と口の中が麻痺します。まるで炭酸で割ったお酢を飲んでいる感じです。
未熟なブドウでドライに造るとドサージュ(リキュール添加)しても、ブリュット(辛口)と名乗りたいので添加量が少なくワイン全体の厚みが薄く酸味だけ強い泡ができあがります。
今回お届けのヴィッラ・クレスピアのフランチャコルタはシャンパーニュ地方と比べて平均温度が3度程高いと言われています。
泡に適したブドウを使用してワインを造り、ステンレスタンクにて8ヶ月間熟成。瓶内で18ヶ月熟成させて完成させます。
グラスの中で『泡を抜いた状態で美味しい泡が本当に美味しい泡です』ぜひ『NMシャンパン』と比較して『このRM』お試しください。
ベストペアリング
・和牛塩焼き、美味しい!酸味がサッパリさせてアフターのピール感とミネラルの苦味が広がる!もう一度、牛の旨味が戻ってくる感じ!
・スモークサーモン、酸味と香ばしいスモーク感が合う!さらにサーモンの旨味と酸味が合う!!これもベストペアリング!
・アサリの酒蒸し、美味い!これベストペアリング!サッパリ系は旨味との相性最高!ピール感がコハク酸の旨味と同調する!
・アルトバイエルン、美味しい!サッパリ香ばしい、燻製合うわ!旨味も残る!
・もずく酢、合うね!酸味がまろやかになって三杯酢の甘みと酵母感が補填し合う!
・牛コロッケ、凄く合うね!もそもそ感と旨味が辛口の泡と合う!サッパリさせ切らずに留まる感じが好き。旨い!
・大葉、香りが補填されて美味しい!めちゃ合う!料理に大葉を組み合わすとワインのペアリングが広がる!
青カビ、パルミジャーノは特に感動のペアリングでした!
酸味が強くてもそもそ系のチーズが合います。
最後に変わった食材!
・ブラックチョコレート、好きな合わせ方!チョコの香ばしさとワインの酸味が立体感をつくる!まとわりつくチョコがワインの強い酸味をブロックしながらチョコの苦味とワインの酸味とピール感が合う!
結論 酸味系の泡は旨味とモソモソ感と相性抜群です!
井手のベスト漬物
・フジッコ紫蘇昆布、美味い!旨味との相性良いな!紫蘇の香りひろがる!酸味と旨味の相性良い!(お漬物なのかなこれ)
▶︎第6回【セミ セッコ(中甘口)】ペルラ・デル・ガルダ|ヴィーノ・パッシート “ドゥラジーボ”
Vino Hayashi 井手 大阪営業所長 J.S.A.認定ソムリエ
食育アドバイザー 横浜市で誕生 福岡に6年、関西で33年。O型。43歳。 ワイン業界で約15年、レストランや料飲店での営業のほかにペアリングのコンサルもこなし、飲食とフットサルと笑いを愛するポジティブ関西人! 好きなワインは、弊社取り扱い生産者カステルユゥヴァルのミュラートゥルガウ、コントゥッチのヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノ。