「まじめに面白がる」をテーマに、毎月ひとつの土着品種を深掘る「イタリアワイン土着品種研究会」
今回はフリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州の歴史ある品種『リボッラ・ジャッラ』の歴史とブドウの特徴を解説していきます。
興味がある方は最後までお付き合いください。
【テーマ品種リボッラ・ジャッラのおすすめワイン】
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リボッラ・ジャッラの特徴は?
黄金色のニュアンスのあるしっかりとした麦わら色。
花や果実の繊細な香りが感じられ、柔らかさと爽やかさのバランスが取れており、特徴あるミネラルと上品な酸味がある。
ゴリツィア県オスラヴィアでは長期的なマセレーションを行う傾向のワインが多く、濃い色合いで、より複雑な構成のワインとなる。
ブドウの房と葉っぱの形状は?
80g以下の小さな円錐形の房で、ややコンパクト。
果粒の大きさは中程度か大きめ、扁円形。
皮はやや厚め、斑点のある淡い黄色で、表面は蠟質の白い粉で覆われている。
発芽からブドウが熟すまでの成長が比較的遅く、傾向として収穫は9月下旬になることが多い。
粘土質やミネラル成分を多く含む土壌や昼夜の気温差があるエリアなどでの栽培がワイン造りに適する。
リボッラ・ジャッラのシノニムは?
Rebolla(レボッラ)
Ribolla(リボッラ)
Rebola(レボーラ)
Ribolla Bianca(リボッラ・ビアンカ)
Raibola(ライボーラ)
Ribuole(リブオーレ)
Ribuèle(リブエーレ)※フリウリでの呼名
Rebula(レブーラ) ※スロベニアでの呼名
リボッラ・ジャッラの歴史について
リボッラ・ジャッラはイタリアにおける数多くの土着品種の中でも、とりわけ古い歴史を持つ品種の一つとして知られる。
記述のある最も古い文献はおよそ700年前のものであり、現在のフリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州東側のフリウリ地方の土地に深く関わってきた品種である。
当時の文献(1299年)には呼称Uva Rabiola(ウーヴァ・ラビオーラ)として記載があり、1324年にはフリウリ地方やイストリア地方(トリエステ南下の半島地域)で普及していると記述されている。
近代になるとブドウ品種学者であるレーヴィ氏は、「リボッラはフリウリの丘陵地で栽培されている白ブドウであると同時に、この地方の白ワインの常套的呼称でもあった」と明言している(1877年)。
当時、フリウリではRibuele(リブエーレ)、スロベニア側のブルダではRébula(レブーラ)という方言で呼ばれていたこれらのワインは、現在とは製法や味わいが大きく異なり、収穫はブドウが過熟するように遅摘みで行い、主にフリウラーノ種(旧呼称トカイ種)やマルヴァジア・イストリアーナ種との混醸で造られていた。
味わいは半甘口や甘口タイプで、外観は濁りのある銅褐色のような色合いであり、秋の栗の季節などに良く嗜まれていたという。
現代においてはリボッラは単一品種で造られることが多く、主に辛口、麦わら色をした果実味とミネラルが特有のフレッシュなタイプや、果皮からの抽出を長期間行うことでより濃厚な色合いや複雑な構成を持つオレンジワインのようなタイプも世間に知られている。
またリボッラ・ジャッラにはバイオタイプ(同系遺伝子型)として、リボッラ・ヴェルデがある。
リボッラ・ヴェルデは、より生産性のある品種とされたが房がよりコンパクトであることから湿度を保ちやすく、腐敗や病気による被害も多く見受けられることから徐々に姿を消していった。
現在のリボッラは、最も普及しているリボッラ・ジャッラ、ほぼ生産が失われたリボッラ・ヴェルデ、黒ブドウでありスキオッペッティーノの呼称で知られるリボッラ・ネーラの3つの品種の存在が認められているが、通常「リボッラ」という呼称はリボッラ・ジャッラを指す。
1970年にイタリア全国ブドウ品種記録書に登録されている。
イタリアワイン土着品種研究会とは?
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\こんな方におすすめ/
✅ワインショップやレストランに取り扱いがない土着品種に興味がある方
✅知らない土着品種を味わってみたい方
✅ペアリングの基本を学びたい方
✅日本未入荷のワインを愉しみたい方
✅品種の特徴を理解して好みのワインを選べるようになりたい方
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