こんにちは、大阪営業所の井手です。
1年間、お届けワインの美味しい飲み方と取扱説明を皆さまにお伝えしていきます。ぜひ参考にしてください。プロのソムリエも知らない知識や独自の観点からワインを分かりやすく説明します。
第11回でお届け
カンパーニア州
【赤】カンティーネ・ディ・マルツォ|イルピニア アリアニコ 2019
飲み頃は?
2日目からですが、3日目に中部、南部特有の獣の熟成香をしっかり感じます!
4日目も美味しい!
必ず冷蔵庫の野菜室かセラーでも温度が低い設定で時間をかけてください。
暑い季節になりました。低め設定のワインセラーか冷蔵庫、あれば野菜室で保存をお願いします。
温度帯は?
閉じて香りが出にくいワインなので少し高めの18度〜22度
野菜室から出して40分〜50分時間を置いた温度。
抜栓後はセラーがない場合は冷蔵庫の野菜室で保管してください。
ジャンルは?(ワインをジャンル分けする事でペアリングや楽しみ方が理解できます)
黒果実系
黒果実系とはカベルネソーヴィニヨン、メルロー、シラー、サンジョヴェーゼ、モンテプルチャーノ、プリミティーヴォなどに代表される果実味が強く、色調が赤黒く濃淡が濃い特徴を持つジャンルです。世界中で造る赤ワインの大部分はこのジャンルのワインです。
※赤ワインは大きく分けて赤果実系のジャンルと黒果実系のジャンル2種類に分かれる事が多いです。
今回は黒果実系の特徴が色濃くでるワインです。『アリアニコ』を識る上で凄く勉強になタイプなのでしっかり楽しみましょう。
(ジャンル分けは井手独自の感覚のジャンル分けです)
タイプ
果実味とスパイス感が強くタンニンがドライなタイプ(サンジョヴェーゼ、サグランティーノ、タナ(タンニンの語源になった品種)、シラー等)
特徴
このタイプのワインはドライなタンニンを感じるワインです。渋い緑茶の様なタンニンです。
強いタンニンのワインになると、舌がタンニンでギュッと引き締まり、口の中の水分を奪います。口の中がカラカラになります。黒果実系の長期熟成ワインに多く感じるタイプです。
テイスティング
1日目 中部や南部の黒系果実に出る事の多い熟成香『獣臭』が少し出ています!
香:スミレ、薔薇、鉄分の香りが凄い、獣臭、(黒系なのに薔薇の香りはアリアニコの特徴です)
味:鉄分、タンニン細かくドライ、カシス、プラム、ブルーベリー、黒いスパイス感。
※閉じている赤ワインは果実味より先にタンニンを感じます。
※黒いスパイス感が軽く熟成すると獣臭に近くなります。
2日目 清涼感が出始めたけどまだ硬いな!
香:鉄分、メントール、獣臭、奥にカシス。
味:メントールの様な清涼感がでてきた、鉄分強い、まだ果実味が前に出てこない、タンニンドライ。
3日目、開いた!カシスの香りの中に獣臭を少しかんじます!(少しの獣臭は好きなワインです)
香:カシスの香りの中に獣臭が微に入る!酸味、果実味、タンニンと並んだ!開いた!
味:カシスが特に強くでた。
4日目、変わらず良いワイン!
香:変わらず良い状態!
味:変わらず良い状態!
結論
南イタリアワインを識る上で重要な品種『アリアニコ』
南のバローロと呼ばれる品種です!
しかし!飲む機会が少なく理解する事が難しい品種です。
偉大なブドウなのに何故だろう?
それは、熟成した良い状態のアリアニコが劇的に少ないからです!
輸入元もプロのソムリエもアリアニコは重要な品種と分かっていますが、『バローロ』や『ブルネッロ』みたいに購入後セラーで熟成させてくれない...
だからと言って早飲みタイプのアリアニコは然程美味しくない(早飲みでも硬いワインが多い)
熟成して初めて偉大さが分かる品種なのに『飲み手の感覚とワインの熟成度合いがミスマッチする品種』です。
アリアニコは何故偉大なのか?
それは、ネッビオーロやサンジョヴェーゼと同じ特徴を持つ品種だからです!
長期熟成ワインに重要な要素『酸味』と『強いタンニン』が強くでる品種です。
南イタリアワインでイタリア北部の特徴『強い酸味』は珍しい特徴です!
故に長期熟成が可能でアリアニコを使うDOCGが3つもあります!
アリアニコの特徴は?
それは『黒果実系』、『赤果実系』2つの顔を持つ品種です。
果実味が強くでる黒系タイプ、と旨味が強くでる赤系タイプ、その両方の果実味と旨味の特徴を持つタイプ、
これは何度かお届けしたサンジョヴェーゼの特徴と凄く似ています!
今回は黒系果実の特徴が色濃くでたワインです!しっかり楽しみましょう!
ベストペアリング
・豚バラ(スペアリブ)、豚の香りとワインの果実感が合う!美味しい!アフターも旨味が続くベストペアリング!
・豚トロ、美味しい!ブルーベリー感が豚肉の臭みを消して果実味を補填する!アフターのタンニンも気にならない!
・鴨胸肉、凄く合う!ブルーベリー感が鴨肉の鉄分と同調して合う!ワインがソースになる!アフターも旨い!
椎茸は基本的に赤でも白でもロゼでもオレンジでもワインとの相性も素晴らしい食材です!是非ペアリングしてください!ワインと椎茸のペアリングにハマります!ペアリング万能食材!
シシトウ、美味しい!青さと香ばしさが合う!
焼き茄子、小麦粉で香ばしく焼いた面と青さが同調して美味しい!
クレソン、青みとスパイス感と合う!タンニンも同調!春が旬ですが。
ブリ塩焼き、美味しい!臭み出ない、ブルーベリー感があってるのかな。
酸味の優しい酢の物なら基本的にワインと合います!(クセの強い食材はNG)
驚きの食材がペアリングできました!
赤海老の刺身、全然大丈夫!悪くない!アフターカシスのソース付けたみたいで美味しい!海老の味噌もいける!
「そんな感じになるんだ!」と新しい味の発見があるからペアリングは面白い!新しい味わいに変わります!
ドライなタンニンの長熟黒果実系ワインは合わせるジャンルが狭いのでチーズをお薦めします。
ワインの歴史と共に育ったチーズは基本的にワインに合います!なのでペアリングをここで紹介する必要は無いと考えていますが、ポイントだけお伝えします。
どのペアリングも同じですが、チーズを合わせるコツは『ワインとチーズのボリュームを合わせる事』です!
なのでフレッシュチーズ以外は合います。(フレッシュチーズの油脂分ではドライなタンニンを流せないからです)
※黒果実系はワインのタンニンをチーズの油脂で相殺し、黒系果実味が補填されます。
・スモークチーズ、スーパーで売っているウインナーみたいな形のチーズです。白、ロゼ、オレンジ、赤、何でも合うので便利なチーズです。私は常備しています。スモーク感がペアリングのポイントになるので体感してください!軽く焼いても美味しいです。
・白カビ(カマンベールチーズ、日本産で充分美味しい)、ミルキーなチーズにブルーベリーソースかけたみたい!
・青カビ(ゴルゴンゾーラ等)、ボリューム感同じ!アフターに青カビの香ばしいさとミルキー感がブルーベリーソースかけてるみたいで美味しい!
井手のベスト漬物
・しば漬け、ブルーベリー感と紫蘇感が合う!タンニンも同調!しば漬けは優秀です!
・紫蘇梅干し、美味しい!酸味が甘く感じる!アフターも果実味足されて美味しい!
井手のベストポテチ
・ノリ塩、美味しい!青ノリの香ばしさとカシス系果実感が合う!ベストペアリング!
▶︎第11回【白】カンティーネ・ディ・マルツォ|グレコ・ディ・トゥーフォの取説はこちら
Vino Hayashi 井手 大阪営業所長 J.S.A.認定ソムリエ 食育アドバイザー 横浜市で誕生 福岡に6年、関西で33年。O型。42歳。 ワイン業界で約15年、レストランや料飲店での営業のほかにペアリングのコンサルもこなし、飲食とフットサルと笑いを愛するポジティブ関西人! 好きなワインは、弊社取り扱い生産者カステルユゥヴァルのミュラートゥルガウ、コントゥッチのヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノ。