
Vino Hayashi 大阪営業所の井手です。
まだまだ飲食業界が苦しい中、私はずっと売れています。
自慢をしたい訳ではありません。
売れていると言う事には理由があります。
私が紹介するワインが常に美味しいからです。
ちゃんと理論があり、美味しく感じてしまうのです。
『季節の旬とワインの旬をペアリング』して提案するからです。
料理とワインのペアリングの考えに移る前に大切な事があります。
私が全国のレストランから試飲や提案、紹介の依頼を受ける理由が『季節感』を取り入れている点が大きくあります。
春夏秋冬に合わせて提案するワインを変えます。
逆に言うと年に4回しか季節の提案リストを更新しません。
レストランで旬の食材は提案されますが、旬のワインを提案された事はありますか?
そこまで考えてワインを提供するソムリエが少ないのが現状で、ソムリエの好きな味の好みに偏ったお店が多い様です。
『春は苦味』
春は香りの閉じた季節から芽吹く香りの開いた季節です。
ワインも華やかな香りのワインを中心に選びます。
フローラル系のワインやイキイキとした果実味タップリのワイン。
食材も個性豊かな山菜、太った貝類、ホタルイカ等、苦味が美味しい季節です。
香りと共に生命力に溢れる苦味系やハーブ系のワインをペアリングしましょう!
『夏は青味と瑞瑞しさ』
夏は酷暑とエアコンで疲れた身体を癒す、酸味&ミネラル系ワインや温度を下げても美味しいタンニンが控えめな果実味赤ワイン等を選びます。
シシトウやパプリカ等の唐辛子属、茄子や瓜類、トマト、瑞々しい野菜、鮎、鮑、甘鯛、鱧等、冷菜で提供される事が多い季節です。
鮎や鱧には鉱物系のミネラルタップリのキレキレワイン!
夏野菜のグリルに柑橘系ミネラルワインの相性は抜群です!
『秋は鉄分』
秋は食材の宝庫、秋刀魚や鯖、秋鮭、戻り鰹、伊勢海老、そして香り高いキノコ類です。
夏の酸ミネラル系ワインも飽きて、
香ばしい樽系の白ワインや熟成した鉄分タップリの出汁系の赤ワインを選びます。
伊勢海老や甲殻類は香ばしい樽系ワイン!
秋刀魚や鰹、秋解禁の猪料理には鉄分タップリのフローラルな醤油系ワイン!
美味しいキノコの香りを充分引き出した料理には出汁系の旨味タップリ赤ワインの相性は言葉にならない至福の時間です!
『冬は甘み』
冬は寒くなり身体が栄養を溜め込む季節、白菜やキャベツ、小松菜、人参やゴボウの根菜類、金目鯛やブリ、ジビエ代表の猪、蟹や伊勢海老。
甘味が大切です。樽で熟成した白ワイン、果実味がありタンニンもしっかり感じる赤ワインが飲みたくなります。
レア焼きの蝦夷鹿に樽熟成の果実味タップリ赤ワインはムシャぶりつく衝動を抑えながら楽しむ特別なペアリングです!
四季を演出する事がゲストの満足度を上げる事に直結します。
無数にあるワインだからこそ、季節感の縛りを課すだけで思考を絞る事ができます。食材だけでなく『ワインも四季とペアリング』しましょう。
少し専門性が強い話ですが、ワインを飲むと言う事を『好きな味のアルコールの摂取』で終わらすと凄く勿体無い!
イタリアにも四季があります。
そして1000種類以上のブドウ品種があり、北から南まで全20週でワインが造られています。
海に囲まれ、山があり川がある、北の冷涼地域から南の温暖地域、そして島があります。
日本にそっくりと思いませんか?
こんな多様性に満ちたイタリアワインと日本の食材を季節に合わせてペアリングする贅沢を知ってください!
では今回はレストランに提案中の『秋ワイン』の中から特に人気のあるワイン紹介します!
秋のペアリングにおすすめのワイン一覧
秋刀魚や鰹は鉄分タップリの醤油系ワイン!
《鰹、秋刀魚、豚バラ肉》

ヴィーニェ・マリーナ・コッピ コッリ・トルトネージ バルベーラ スーペリオーレ “イ・グロップ”2015
7,040 円(税込)
酸味と果実味と鉄分で旨味を形成する『バルベーラ』は特異な品種です。
若いバルベーラは美味しくないので避けてください。最低でも3年以上熟成したワインを選んでください。
若さが抜けコクが出てきたバルベーラはこの時期、バローロを超えます!
コクのある上質な醤油です!鼻に抜ける官能的な揮発香、強い酸味と果実味とコクが混ざり合い旨味を形成します。
今回ご紹介するバルベーラは7年熟成した2015年!
酸味、果実味、旨味、鉄分、コクが高次元にバランスのとれた最高の状態に仕上がってます。
鰹や秋刀魚も合いますが、ベストペアリングは豚バラ肉です!
ワインの鉄分が豚のクセのある脂身を旨味に変えます!豚のルーツである猪が手に入ったら迷わずこのワインを合わせてください!
香ばしい樽感とハーブ感が融合したソーヴィニョンの究極系!
《伊勢海老、蟹など甲殻類》

エディ・シムチッチ ソーヴィニヨン 2018
7,040 円(税込)
『こんなに完成されたソーヴィニョン・ブランあるんだ!』と初めて飲んだ時に衝撃を受けました。香り、味わい、余韻、全てがバランス良く折り重なっています。
香ばしくて華やかな香り、上質なブランデーを飲んでいる様な膨よかな味わい、バターの様な旨味をタップリ含んだ長い余韻。
完成度の低いワインが多い『ソーヴィニョンのバリック熟成』の中で完成させた完璧な味わいです。県名は伏せますが、ソムリエ協会の支部長が試飲後に、『これがボルドーなら1万円以上の価格は間違いない!』と申しておりました。
ハーブ感と相反するバリック熟成を見事に融合させています。
合わせる食材は海の王者、伊勢海老のグリル!
香ばしい海老味噌を絡めたプリプリの身に、香ばしくて華やかなワインのペアリングは贅沢の極みです!オマール海老でも蟹でも甲殻類を殻ごと焼いて合わせてください!ブルゴーニュグラス一択でお願いします。
私が一番愛している赤ワインの生産者です!
《鴨肉、キノコのグリル》

コントゥッチ ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノ 2016
4,840 円(税込)
ワイナリーの創設は1008年、なんと『1000年以上の歴史!』です。
その頃の日本は平安時代で源氏物語が誕生した年と近いです...
歴代の当主も40人以上!
歴史とともに磨かれ続けた『宝石の様な高貴なワイン』それがコントゥッチが造るヴィーノ・ノービレの正体です。
日本のワイン造りの歴史は1870年からと言われています。
単純に860年以上の歴史差があります。
千年は簡単ではありません!
戦争や飢饉、天候被害や環境や気候の変化、『激動の時代』を乗り越えてきた『造り手達の情熱』がこのワイナリーには詰まっています。
千年と言う時の中で伝統と革新を繰り返し、磨き続けた1つの答えがこのワインです。
このワインの味わいは一言で表すと『ノスタルジー(懐かしい気持ち)』です。
それ味なん?ってなるので、ちゃんと説明しておきます。
『柔らかくて旨味を感じる酸味』、『重くない自然な果実味と鉄分』、『優しくて心地よいタンニンと余韻』なんか全部が暖かくて、優しくて、心地よい、まるでトスカーナの収穫を待つ広い広い麦畑の中に自分が佇んでいる様な映像が浮かびます。
行った事ないけど...
そんな感じが『ノスタルジー』と表現しています。
そのまま飲んでも地味深くて凄く旨いワインですが、合わせる食材は、鉄分タップリの鴨肉がベストペアリングです!
つけ合わせにキノコのグリルを必ず添えてください!キノコも相性抜群です!
豚のスペアリブの塩焼きもお勧めです。旨味タップリの肉汁と共に旨味タップリのワインを流し込んでください!
秋が1番美味しく感じるワインなので歴史と共に味わってください。
ピノ・ノワール好きのファンが多い、紅茶の香りのフローラル系ワイン!
《鰹のタタキ、秋鮭、海老の塩焼き、塩サバ》

テヌータ・サンタ・カテリーナ グリニョリーノ・ダスティ “アルランディーノ”2018
3,960 円(税込)
グリーニョリーノ100%で造るワインです。
凄く凄く美味しいワインです。私は個人買いしています。
しかし初めて聞く品種と言う方も多いと思います。
ピエモンテ州の激レア品種です。
味わいを一言で言うと、『スパイシーなピノ・ノワール』です。
旨味系の果実味とタンニン、紅茶感、白胡椒や生姜のスパイスを感じる珍しいワインです。
生姜や白胡椒と言えば魚介類の臭みを消す効果があります。
なので、魚介系中心の名店がペアリングでよく使います。
全ての魚介類と合う訳ではありませんが、鰹のタタキや秋鮭、海老の塩焼きや塩サバとペアリングできる珍しい赤ワインです!
特に塩サバと合わせて臭みが出ないのは珍しい事です!
しかし欠点もあります。
肉系が全く合わない不思議なワイン・・・
豚も牛も鳥も全てシンプルな塩焼きで試しましたが合ってるとは言えず、同調も補填もないペアリングでした。
グリーニョリーノもピノ・ノワールと同じようにワインだけで楽しむことができるます。秋の夜長にブルゴーニュグラスでゆっくり楽しんで欲しい地味深い香り豊かな秋ワインです。
旨味系白ワイン!出汁系食材と相性抜群の秋ワイン!
《キノコ、海老、蟹、鰹出汁》

ピエトロ・ベコンチーニ トスカーナ ビアンコ トレッビアーノ・マチェラート “ヴェア”2019
4,620 円(税込)
このワインを翻訳すると、トスカーナ(州)ビアンコ (白)トレッビアーノ(白ブドウ品種)マチェラート(熟成)と言う意味です。
要するに『熟成した白ブドウで造る白ワイン』です。白ワインと言っても醸造方法から考察すると『オレンジワイン』です。
オレンジワインと名付けたはイギリスのワイン商です。『カテゴリー化』した事で認知度が上がり世界のトレンドになりました。
造ってる人達は、白ワインとしてリリースするのでビアンコと名乗っています。
マセラシオン(果皮を漬け込む)期間が40日なのでオレンジワインとしては短めの醸し期間です。(一年漬け込む生産者もいます)
漬け込み過ぎると、タンニンが強く、少し濁っていて、古典的で、飲む人を選ぶ上級者向けワインになります。所謂『アンバーワイン(琥珀色)』と言われているジャンルになります。
このワインは全く嫌味がありません!
白ワインとオレンジワインの丁度中間に属していて、白ワインの①酸味 ②豊な果実感 ③ミネラル。
果皮の醸しから抽出される、④出汁の様な旨味 ⑤軽いタンニン。
この5つの要素がワインを立体的に作り厚みのあるワインに仕上げます。
丸い酸味、完熟りんごや洋梨の果実味、蜂蜜の厚み、果皮の旨味、軽いタンニンがバランスよく口に広がります。
オレンジワインで多い特有のお酢の様な酸味は全く感じられません!
オレンジワインが苦手、オレンジワイン初心者の方、アンバー系大好きの方も一度味わって欲しい珍しいタイプのワインです。
合わせる食材は秋のキノコです!間違いなく合います!
お勧めはシンプルにグリルで塩だけですが、キノコメインの鍋料理やパスタ、リゾットでもキノコの旨味とワインの旨味が同調します!
旨味系の食材なら海老や蟹を使った料理や昆布や鰹出汁の料理などとも相性抜群です!時期は過ぎましたが、ホクホク系の豆類も旨味と果実味がが補填されて最高のペアリングです。これから美味しくなる根菜料理も相性良いので楽しんでください!
紹介したい思いが強過ぎて長文になりましたが、秋をワインと共に感じながら味わう幸せを体感してください!
貴方のワインライフが少しでも豊になりますように。
私の担当レストランで現在ペアリングワインとして採用されているので、残りが少なくなり次第販売終了とさせていただきます。
井手 Vino Hayashiの大阪営業所長のアラフォー男子。横浜市出身 O型。 顔の濃いソムリエ。顎ヒゲとモミアゲも濃い食育アドバイザー。 ワイン業界で約10年、飲食とフットサルと笑いを愛するポジティブ関西人! 好きなワインは『パキッとしたパキ旨ワイン』